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「ではみかん。ちょっと一緒に来てください」といきなりみかんはぐいっとメイド服(の首根っこ)をつかまれて、めろんに引っ張られるようにしてお屋敷のほうに連れていかれてしまった。
「え? あの、ちょっと、めろんさん! いたい、いたいです!」とみかんは言う。そう言ってもめろんはメイド服を離してくれなかった。めろんはみかんを引っ張って歩いている間、無言だった。だからみかんはめろんがどうやらすごく怒っているということがわかった。
みかんが連れていかれたところはお屋敷の食堂だった。そこにはみかんだけではなくて、りんごとれもんがいた。これで食堂にお屋敷で働いているメイドの四人が全員そろったことになる。
りんごには犬の耳としっぽが生えていて、れもんにはうさぎの長い耳と丸いしっぽが生えている。
りんごとれもんはそれぞれ違うところでお仕事をしていたはずだ。なのできっと二人もみかんのようにめろんに食堂につれてこられたのだろうと思った。
めろんにひっぱられてきたみかんを見て、りんごはくすくすと笑い、れもんはいじわるそうな顔で笑っている。
「さて、みんなそろいましたね。ではそこに並んで立ってください」とめろんは食卓の前を指さして言った。
みかんとりんごとれもんは言われた通りにめろんの指さしたところに並んで立った。
それからめろんはみんなを食堂に集めた理由を話してくれた。その話によりと、どうやら食堂で誰かがお嬢様のお気に入りの真っ白な陶器のカップを割ってしまったようだった。そして、その犯人をめろんは探しているらしい。
「みかん。りんご。れもん。今日の朝ご飯のあとはどこでなにをしていましたか? 私に言ってください」と怒った顔で腰に手を当てながらみんなのことをじろっと見て、めろんは言った。