1 誰か私を拾ってください。
ねこみみメイドのみかん
誰か私を拾ってください。
大きなお屋敷でメイドとして働いているみかんは、のんびりした性格の頑張り屋さんの小さな女の子だった。ただ少しだけ変わっているところがある。それは頭の上に二つの三角形の形をした猫の耳が生えていることだった。それと猫のしっぽがおしりのところにはえている。それ以外は(多少、行動や性格が猫っぽいところもあるけど)普通の人間(の形)と変わらない。そんな自分の変なところを普段、生活をしていて気にしたり、嫌だと思ったことは一度もなかった。なぜなからこの森の奥にある人里離れた大きなお屋敷で働いている四人のメイドさん全員に、なんらかの動物の耳と動物のしっぽがはやしていたからだった。(つまり、このお屋敷では動物の耳と動物のしっぽが生えていることが普通なのだ)
今日もぽかぽかしていい天気ですね。どこかでお昼寝したい。でも、さぼっているところを見つかると、まためろんさんにたっぷりと怒られてしまうので、お仕事をさぼることはできないですね。お仕事頑張らないと。(お掃除は別に嫌いじゃないし)
そんなことを思いながらいつものようにみかんがお屋敷の真っ白な正門のところを竹ぼうきで一生懸命(小さな体を動かして)掃き掃除していると、お屋敷のほうから誰かがみかんのいる真っ白な正門のところまで歩いてくる風景が見えた。
つかつかと歩いてくる足音が聞こえて、(みかんのねこみみがぴくぴくと動いた)そこにメイド長のめろんがやってきた。めろんの姿を見て、みかんは思わずどきっとして、さっきまでよりも、急いで竹ぼうきをもっている手を動かした。
「お仕事。ごくろうさま。みかん。今日も頑張っていますね」とふふっと笑ってめろんは言った。
メイド長のめろんはあいかわらず完璧な様子でメイド服を着ていた。黒のロングスカートの長袖のメイド服。背の高いめろんにはきっちりとした古風なメイド服がとてもよく似合っていた。(ぶかぶかのメイド服姿のみかんとは大違いだった)そんなめろんには頭に狐の耳とお尻に狐のふかふかのしっぽが生えている。
「はい! めろんさん。お仕事頑張ってます!」と満面の笑顔でみかんは言った。