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目が覚めたら物語は終わっていました

主人公とルーク=トルネージュ子爵は最終的には結ばれます!


多分。。

夢を見ているようだ。


私は35歳にもなったのに、結婚どころか浮いた話の一つもなく、毎日工場勤務をして日々をただ消化していた。

昔は得意スポーツがあって、全国大会にも出ていたが、怪我をして選手生命は断たれた。

その後の人生はもう消化試合だ。怪我をした後も腐らずに続けていれば、地域の少年団の先生くらいにはなれたかもしれないが、プロ選手が夢だった私はもう関わるのも辛くなってしまった。諦めてしまったのだ。


そんな中で唯一の楽しみが、小説を読む事だった。

小説の世界には、素敵な世界、素敵な人格者が沢山いて、何を読んでも楽しかった。


そんな中でも一番のお気に入りが、エルサルドル王国の秘密という本だ。


この王国は、巨大な魔法陣の中心にあり、魔法陣の外には魔物が住んでいる。魔法陣によって結界を作っていて、結界内では滅多に魔物は現れないのだが、時々何故か現れる魔物を聖なる力で浄化しして周る男爵家の聖女、ルシーナを中心とした恋物語だ。レオン=エルサルドルという王太子がお忍びで街に出ている時に魔物が現れ、聖女が浄化する事で2人は知り合い、惹かれあっていく。しかし、レオンには既にミルリーフという婚約者がおり、学園に入学してきたルシーナを虐めてくる。障害がある事で更に仲が深まる王太子とルシーナ。最後には卒業パーティでミルリーフの悪事が暴かれ、婚約は解消。ルシーナは100年に一度の聖女であり、聖女の力を取り入れたい王の想いもあり、2人は結ばれるのだ。


この物語の新作が出る日、私は本屋に買いに走っていた。そこで、信号を無視した乗用車が横断歩道に突っ込んできた。


ひかれるっ!


そう思って目を閉じた私は、深い闇に飲み込まれていったのだった。



目が覚めたとき、私は牢のベッドの上だった。

牢といっても、貴族用の物だ。庶民が使うような簡素ベッドに、小さい椅子とテーブルがある。


「ミルリーフ嬢、お目覚めですか?」


ふと横を見ると、宮廷魔導士として有名なルーク=トルネージュ子爵がいた。


「トルネージュ子爵が何故ここに…」


「貴女はここに連れて来られた後、突然倒れたのです。その後高熱で三日三晩寝込んでおり、先程目覚められました」


「そうだったのですか」


体を起こし、ここに来た時の事を思い出そうとすると頭に急に鋭い痛みが走った。


「いたっ」


思わずベッドに倒れ込む。


ふぅ、と子爵が溜め息をつく。


「ショックで熱が出たのでしょうか。まだ本調子では無さそうなので、もう少し横になっていた方が良いでしょう」


そう言って、私に治癒の術をかける。


「私は宮廷魔導士として王太子をお守りする立場でございます。ですが、王宮内で私が一番治癒魔法に長けておりますので、こちらでミルリーフ嬢を監視しながら看病するよう仰せつかっております」


なるほど。

おそらく私は修道院送りになるのだろう。時期国王と、100年に一度の聖女の仲を引き裂こうとしたのだから。

けれど、私は今まで自分の役目を全うしてきただけでは無いか。

厳しい妃修行に耐えたのも、得意とはいえない魔術学校で懸命に励んできたのも、この国の為なのだ。正直言ってたかだか男爵家の娘であるルシーナが妃など務まるものか。


第一に、聖女というのは今まで平民からしか出た事がない。ルシーナの力を知った男爵が養子にしたのではという噂もある。兎に角、ルシーナの貴族の淑女らしからぬ行動を咎めていたらこうなったのだ。本当に、決定的な何かをした訳ではない。毎回苦言はしていたが、周りはミルリーフに厳し過ぎではないか。


まぁ、次期王である王太子に命令されたら、誰も逆らえない。私はその点で上手く出来ず敗れ去ったのだ。


いや、そんな事は最早どうでも良い。

さっき見ていた夢は何だったのか?


夢?にしては余りにも…


「頭痛はどうですか?」

「お陰様で、大丈夫です」


「では、これからについてお話させて頂きます」


そうして子爵が話し出した内容を聞いて、私は唖然とした。


「メンデル修道院、ですか…」


一番厳格で、厳しいと噂の修道院だ。

ぶっちゃけあの程度の嫌がらせで送るような場所か?

私はレオン王太子を心底見損なった。

仮にも元婚約者だ。

最近はあまり良い関係では無かったかもしれないが、幼い頃から良く一緒に過ごす時間を作っては、郊外に散歩に出かけたり、お茶を楽しんだりして、とても楽しかった。

あの思い出まで無下にされてしまったと思うと、何だか悔しかった。


「さて、表向きの話は終わりました。ここからは、その上で貴女はどうしたいかの話をしましょう」


「なんですって?」


「私に力を貸して下さるというなら、私が貴女を助け出して差し上げましょう」


「力を貸す?私が、貴方に?」


「えぇ」


そうしてトルネージュ子爵は、その美しい顔を笑顔に変え、私に迫るのだった。

ルークは27歳、レオンとミルリーフは18歳、ルシーナは16歳です!


初投稿宜しくお願い致します!!

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