1/4
監獄生活
おれは、物心をついた時には監獄にいた。
外の世界は、知らない。
全く、知る由もない。
話し相手は、看守一人。
そんな世界で。
おれは。
孤独に生きてきた。
もう、15になる。
ずっと、この監獄から出る方法を探していたか、と言われると、そういうわけではない。
監獄には、別に何もないわけではない。
毎日配膳される、ご飯。
トイレ。
そして、木の枝。
5冊の本。
その、5冊の本の中に。
「剣道」
という本があった。
おれは、その本を熟読し、木の枝で再現をしていた。
それくらいしか、やることがなかったから。
素振り。
左手にぐっと力を込め、右手は手が伸びる瞬間だけ、すっと力を入れる。
面打ち。
小手打ち。
胴打ち。
ほかにも、応じ技。
合い面。