記憶の故障
高校生になって一週間すぎ、高校生活には少し慣れてきた、だが、友達は一人もいるわけもなく、毎日毎時間机に座りっぱなし、唯一の楽しみは、席の近くで話をしている奴らの会話を盗み聞きすることぐらいだ
「おいっ、聞いたか江野島って帰国子女らしいぜ
場所はわからないけど――」
机で寝たふりをしていた俺は、少しビクついた
関係などあるわけもないのだけど、江ノ島の話に
なると、なぜか少しドキっとする
別に恋とかではないと思う、、
「なぁなぁ、聞いたか江ノ島って帰国子女らしいぜ」
俺の背中を指でつついて、同じ事を言ってるこいつは
木村華音、ただの変態だ、どう変態かと言うと
コミュニケーションお化けだ、だが、友達は俺と同じくいないらしい、この性格だとまぁ当たり前だろう
「俺も聞こえてるから、お前もそこの奴らから盗み聞きした情報だろ?」
「うん!」
「お前コミュ力あんだから、あいつらのグループにでも入ればいいんじゃねぇの?」
「ごめん、俺男好きじゃねぇんだわ」
「俺も男じゃん、なんで話してんだよ」
華音は、少し黙ってから口を開いた
「これ、覚えてないか?」
そう言って華音はポケットから、手で握れるぐらいの
小さな石を出し、机に置いた
「なんだこれ?」
俺は躊躇なく言った
華音は少しうつむき口を開く
「そう、だよな、、」
俺は悪いことをした気分になった
「ご、ごめんな木村なんかそれ、有名な石なのか?」
華音は、顔を上げ口を開く
「こっ、、」
その時教室が揺れた
「じ、地震か、」
クラスの人はみんな机の下に逃げ込んだ
それほどの大きな地震だ
「み、みんな早く外に!」
クラスのリーダー的存在が先導するよう指示をする
「おい、木村俺たちも早く外に!」
「いかなきゃ、、」
そう言って木村は俺の言葉を聞かず、外に出る方向の逆へ走っていった
「ちっ、あのバカ」
柏木も木村の方向へと走った
木村は階段を登った
柏木達の教室は三階にあった、この上の階となると屋上になる
「はぁはぁ、おいっ、木村早く逃げるぞ!」
屋上の扉を開けるのと同時に俺は大声で木村に言った
扉の先を見るとそこには、江ノ島もいた
「なんで江ノ島さんも、、」
「柏木、お前は外に行け!」
いつもはヘラヘラしている木村が真面目な顔で言う
俺はコイツラが何をしたいのかが理解できなかった
だが、見過ごすことはできなかった
「一緒に逃げるぞ」
柏木は木村達の方へ歩いて行く
木村と江ノ島はポケットから石を取り出した
「何やってんだお前、、」
「シールド!」
木村がそう言った瞬間屋上に円形の光が現れた
「もう少し後にしようと思ってたが、、
受け取れ柏木!」
そう言って木村はもう一つ取り出した石を柏木に投げた、その石を手にした瞬間脳に記憶が流れ込んだ
「すっかり、わすれてたぜ、、」
柏木はそう言ってニヤついた
「ポータル」
すると右手に棒状の光が現れ、徐々に光から刀のようなものが生成されていく
「久しぶりに暴れるかな、、」
そう言って柏木は目の前にいる
得体の知らない化物に刃をむけた