高校デビュー
俺は物心ついた頃から、石を集めていた
なんで集めていたかは、俺自身もわからない
そして物心ついた頃から、科学をあまり信用していなかった。
だから、注射も極力打たなかったし、薬もあまり飲まなかった、だが、自然とその悪い部分に手をかざしていた。
そのせいか、周りからはよく変わっていると言われていた。確かに、髪は肩まで伸びているし、目は他の人に比べて澄んでいない、そのせいで「人殺し」と言われいじめられていたものだ、だが、容姿はあまり悪いわけではなく、身長も低くない、高いぐらいだ
女は寄り付いてくるが、恋愛はしたことがない。
「今日から高校生か、、」
いつもとは違う道の途中ため息混じりに声を出す
俺は頭がいいわけでもなく無事私立の高校に昇格
将来の心配ともう一つ人間関係の心配をしつつ
学校へと歩いた
ーー教室ーーーーーーー
(自己紹介、これが一番厄介だ、ここで俺の高校ライ フが決まると言っても過言ではない)
今日のために俺は髪を切り、爪を切り、周りから見られて恥ずかしくないよう、準備をしたつもりだ、イケる、あとは目を輝かすんだ、目を!!
俺の紹介まであと三人
三人目の彼女が立ち上がった
「江野島真紀、、」
そう言って彼女は座った
教室は静まった、彼女の高校ライフは終わりを告げただろう、そんな事を考えていたら俺の番がきた
彼女のおかげで自然と緊張は溶けていた
「柏木愛翔
趣味は絵を書くことです――」
まぁ、可もなく不可もなくと言った自己紹介だった
だが、これでいいんだ、このぐらいで
注目を集めない程度の方が俺の高校ライフは充実したものになるはずだ
「なぁ、柏木、、お前あいつのことどう思う?」
後ろから指でつつかれ話しかけられる
もちろんこいつは初対面だ
「あいつって誰のこと?」
俺は普通なら無視するが、後のことを考え話に乗ることにした
「江野島だよ、江野島真紀
超美人じゃん、それにミステリアスだし」
(何言ってんだこいつ)俺が素直に思った気持ちはこうだ、、
「いや、でもあいつはないだろ、、
だって自己紹介で名前だけの奴だぜ、、」
「だからいいんじゃん」
(何言ってんだこいつ)またも俺はそう思った
俺はこいつの顔を見てもいないが、喋り方や声からして陽キャということはすぐにわかった
全員の自己紹介が終わった
「なぁ、柏木死んだらどうなると思う?」
俺は思わず笑いそうになってしまった、
振り返ると容姿端麗の男が切な気な顔でうつむいていた、俺は初対面のやつにこの激痛な質問ができる
こいつの神経を疑いつつも返答することにした
「生まれ変わるんじゃねぇの」
男は俺の目を見て満面の笑みを浮かべた
「だよな!そうだよな!」
「あ、あの俺達知り合いとかじゃないよな?」
この空気に耐えきれず思わず口にしてしまった
「うん!」
(こいつ、いかれてる)俺はそう思った、だからこいつと仲良くなるのを、やめようと固く決意した
「あ、そういえば俺の名前覚えてる?
柏木一回も名前で読んでくれないから」
確かに、自分の発表した後でこいつの自己紹介を聞きそびれていた
「俺の名前は木村華音
気軽に【むらのん】とでも呼んでくれ」
(こいつは関わっちゃいけないタイプだ)そう思い俺はその場を離れる事にした
「む、むらのん、ちょっと俺トイレ行ってくるわ、、」
そう言って俺は小走りに教室をあとにした
「いって、、」
曲がり角で誰かにぶつかってその場に倒れ込んだ
「大丈夫、柏木愛翔?」
ゆったりとした声で優しく話しかけ、その女の子は俺に右手をさし出した
俺はその手を掴み起き上がる
「ありがとう、君は大丈夫?」
「うん、大丈夫」
ズボンについた汚れを払い顔を見上げる
僕は口を開き呆然とした
「大丈夫?柏木愛翔」
そう言って彼女は柏木に近づき顔を覗き込む
「うわっ」
女には無関心な俺でもなぜかその時はドキドキした
「き、君はたしか、、」
「江野島真紀、同じクラス」
そ、そうだ後ろ姿しか見えなかったが
彼女の喋り方や髪の長さからして確かに江野島だった
真っ黒で長い髪、身長は高くとも低くともとれる
容姿の特徴といえば目の色がやや緑っぽいところだ
「あっ、これ」
俺は彼女の落ちたメガネを拾い渡した
彼女は少し微笑みを見せた
「優しさは昔からかわらずか」
彼女はそう言って教室へと戻っていった
俺はどこかで会ったことがあるのかと疑問に思いつつも教室へと戻った
ここではまだ、俺は気づいていなかった
彼女の言葉の真意を、、