次の日の朝 怪人との遭遇
ん……ん……ん?
目を覚ますと目の前に、赤いランドセルを背負った女の子がいた。かわいい。
「ねえおじさん。おじさんはなんでこんなところで寝てるの? 」
こんなところ? 少し見て気づいた。ここはごみ捨て場だ。そういえば昨日、寝るところに困って結局ごみ捨て場にしたような気がする。
「おじさんじゃない。お兄ちゃんと呼んでくれ」
「おじさん気持ち悪いね」
真顔で言われるのが一番傷つく。だがご褒美だと思えばなんて事はない。
ーーー気持ち悪いぞ
二回言われるのはもっと傷つく。いや、お前は黙っとけ。
ーーーーーー
ーーーそういえば貴様、なぜあのような場所で寝ていたのだ。他にもっとあっただろう?
町を歩いている時に、そう聞かれた。
「財布を隠すためだ。公園のベンチじゃ隠し場所に困るし、かといって地面とか遊具で寝る訳にゃいかんし」
ーーーそれでどこに隠していたのだ
「ごみ袋の下。それを椅子にして、他のごみ袋を枕にして寝てた。財布もとられずにこの通り……くっさ」
今さらながら大失敗だったかも知れない。そう思いながら歩いていると、騒音が聞こえてくる。その音は、人の声とも機械音ともとれない音だった。
ーーーなんなのだやかましい
「音の方にいってみるか」
面白そうと思ったので、行ってみることにした。
ーーー貴様、逃亡中ということを忘れてないか?
ーーーーー
グギャオオオオオオオオオオオ!!
怪獣のような叫び声をあげながら、口から炎を放ち、暴れている。ただ一つ奇妙な点があるとすれば……。
「……あれ人間だな。悪魔憑きか」
ーーーそうだろうな。でなければただの面白人間だ
そうであってほしいと願いながらも、大きなビルを攻撃し続ける様を見て、悪魔憑きなんだろうなと理解する。
頭突きするだけで大きく揺れるビルを見て、流石にヤバいと理解する。
数台のパトカーが到着し、続々と警官達が降りてくる。
「うてぇ!! 」
その掛け声と共に、恐竜人間に向かって一斉に発泡する。勢い良く発射された弾丸は、恐竜人間に命中する。だが何故だろう。死なない。
発泡により警官に気づいた恐竜人間は、攻撃の対象を警官に変え、口でエネルギーをため、火球を作りだし放つ。命中したパトカーは、周りの警官やパトカーを巻き込む大爆発を起こす。
空から降ってきた仲間の焼死体に驚く警官達は恐れながらも発泡を続ける。
「うてぇぇぇ! うてぇぇぇ! 」
撃たれながらも、ノシ、ノシと近づいてくる。
恐竜人間は立ち止まると、大きく息を吸い込むと、息を吐く要領で火炎を吹き出す。
火を間近で浴びた警官は焼け焦げ、それを逃れた数人の警官は、残った一台のパトカーに乗り込み、無線に向かって叫ぶ。
「我々では対処できない! 至急、悪魔対策課に応援を……! 」
ガシャーン!
恐竜人間はパトカーの上に飛び乗り、火炎放射で屋根を溶かす。 そして、口にエネルギーため、火球を中に放つ。
警官達は叫び声をあげ、恐竜人間はパトカーの爆発で吹き飛ぶ。
地面に倒れ、周りが死んだと安堵したその次の瞬間、恐竜人間は立ち上がり、ギャオオオオオオオン!っと叫び声をあげた。
ーーーやつらはこの前の暴走と違い、契約している。あの強度がその証拠だ。
「でもありゃ完全に恐竜だ。意志があるとは思えんぞ」
ーーー誰もが我みたいだと思うなよ。本能で動く獣だっている。おそらく狙いはあのビルだ
「なら実践訓練といくか。練習らしい練習できてないし」
ーーーいいだろう。やってみるがいい
めちゃくちゃトイレ行きたい