第一部総集編
第一部までの話をまとめ、改良したものです。
話しも追記しております。
【第一章】はじまり
桜が咲き、春の風が吹いている。僕、佐藤健司は高校より入学するにあたって三月下旬より一人暮らしをスタートさせる。
理由は親の海外出張に伴い祖父方の実家に行くことになったが、祖父方の家は通う学校からは離れているため祖父が学校近くのアパートを手配してくれたためである。
一人暮らし対しては然程不安なことはなく以前より家事等は親が留守することが多かったので慣れている。しかし、まったく知らない土地に来たので知り合いもおらずこれからどうしていけばいいか不安である。
そんな中、僕は引っ越してきて少し気になる人がいる。その人は僕が住むことになったアパートの大家さんの娘の近藤凪咲さんだ。引っ越しの荷下ろしを手伝ってくれ、アパートのかってなど親切に教えてくれてそれ以降、彼女のことが気になっている。
彼女は僕より少し背が低く、ナチュラルなボブヘアがよく似合う可愛い印象だ。
引っ越しが終わって出たごみをまとめて、外のごみ置き場に出しに行くと、アパートの外に彼女がいた。
「おはようございます、天気がいいですね。」
「一人暮らしには慣れてきましたか?」
優し口調で僕に対して話しかけてくれた。普段、近藤さんはアパートの隣にある一軒屋に住んでいてアパートの管理の手伝いを行っているそうだ。そんな彼女なのでご近所さんかも人気があり、ますます僕は気になってしまった。
「なんとかやれていますよ」
僕はそっけなく返事を返す。
「同じクラスになれるといいですね。」
彼女から伝えられる。その言葉に対し僕は
「そうだね、同じになれるといいね」と言葉を返した。近藤さんは僕と同い年で同じ公庫に通う予定のようで本当に同じクラスになれることを期待していた。
【第二章】出会い
今日より高校生活のスタート。といってもこの高校には知っている人は一人もいない。
これからの高校生活がどうなるが不安だ。そんな思いを抱えつつ家からでる。僕は中学時代から人付き合いは苦手で、親の転勤の関係で長い期間同じ場所に留まることができず、友達というものがほとんどできたことがなかったからだ。
「おはようございます」
明るく近藤さんが挨拶してくれた。普段の私服と違い制服姿はとても綺麗であった。家を出る前の不安が少し和らいだ。
「今日は一緒に登校しましょう」
「道もわかりにくいから、案内しますよ」
彼女に案内してもらいながら登校することになった。穏やかな風が吹き、桜が舞っている中を歩く彼女を眺めていた。
そんな時、「仲がよさそうですね♪」
後ろからポニーテイルの彼女が近藤さんを後ろから勢いよく抱き着いてきた。突然のことで驚いた。
「ちょっと、やめてよ」
「いいじゃない減るもんじゃないし」
近藤さんは飛びついてきた彼女とじゃれ合いながら振りほどいた。
「隣の子は誰だ~、気になるな」
近藤さんから離れた彼女は僕をみながら近藤さんに確認した。
「佐藤君びっくりしたよね、彼女は西村明音小さい時からの幼馴染なんだ」
「こちらは佐藤健司さん、三月からこの町に引っ越してきて私の親が管理しているアパートに引っ越してきたの」
「今日は学校への道を案内してたの」
近藤さんには僕に西村さんを紹介し、僕が引っ越してきたことを西村さんに説明してくれた。
「はじめまして、佐藤健司と申します。これからよろしくお願いします」
僕は西村さんに対して改めて自己紹介をした。彼女は近藤さんと比較して、元気が良すぎると印象が強く、スポーツも得意であろう容姿をしている。西村さんは中学校ではソフトボール部をしていたらしく、高校でのソフトボール部に入部するそうだ。
3人で何とない自己紹介をしていると後ろから僕のよりも背の高い少し大人びた短髪の生徒が声をかけてきた。
「お前らから元気だな」
「いいじゃない、良太。女子同士なんたし、減るもんじゃないし」
西村さんは声をかけてきた生徒に親しそうに言葉を返した。
「まあ、そうだな。ところでそいつ誰?」
彼は僕を見ながら彼女ら二人に聞いてきた。
その質問に対して近藤さんが西村さんしたように僕のことを紹介してくれた。
「健司か、俺は山田良太。良太でいいぜ、よろしく」
僕に対して砕けた口調でして挨拶くれた。良太君は近藤さんと西村さんとは小学校からの幼馴染だそうだ。僕からみてこの三人はとても仲がよさそうに見えた。
その後、僕を含めた四人で何気ない話をしながら学校まで登校した。
【第三話】クラス決め
学校に到着した。正面玄関にはクラス分けの表が掲示されていた。
「凪咲、一緒のクラスになれるといいね」
「そうね。一緒だといいね」
近藤さんと西村さんが話しているのを聞いて自分も同じクラスになれればいいなと思っていると、僕に聞こえる声で近藤さんが僕の耳元で呟いた。
「一緒のクラスになれるといいですね」
その言葉を聞いて気持ちが少し高ぶった。
クラス表を確認してみる。この学校は生徒数が少ないため二クラスのみに分けられるようだ、二分の一の確率で同じクラスになれる。
期待を膨らませ確認してみる。
結果は……
近藤藤さんと同じクラスであった僕一緒のクラスになれてとても嬉しかった。
「凪ちゃんと同じクラスだ~」
「また一緒にいられるね」
西村さんが嬉しそうに近藤さんに抱き着いていた。
「俺も同じクラス」
「よろしくな、健司」
近藤さん達が抱き合っている横で僕に対して良太は僕の肩に手をかけ話してきた。
四人とも一緒のクラスで学生生活をスタートすることになった。これからがとてもたのしい学校生活が送れることを期待していた。
【第四話】席決め
クラスが決まりみんな一年一組になった。
入学式は何事もなく終わり、教室に移動した。担任の先生よりくじ引きで席替えの指示が始まった。僕は昔から窓際が好きであり、窓の外を見るのが好きで、それが学校生活において僕の一番の癒しであった。
ついに僕の番になった、窓際になることを願いながらクジを引いた。
結果は一番後ろの窓際の席の一つ隣の席だった。窓際ではなかったため少し気落ちしてしまった。学校での唯一の癒しが失われてしまった。
「隣になりましたね。これからもよろしくお願いします」
気落ちしている僕に対して近藤さんは話しかけた。その言葉を聞いて少し気持ちが上がった。考えてみれば、窓を見ることを口実にして隣の近藤さんを見れていあられるのは案外悪くないなと感じていた。
ちなみに良太君と西村さんは僕たちの前の席だった。朝までは学校生活がどうなるか不安ではあったが、今日できた友達、近藤さんのおかげでこれからの学校生活が少し楽しくなりそうだと感じてきた。
学校からの帰りは四人で僕の為にお店や、遊んでいる場所など案内してもらった。僕は昔から一人でいることが多かった為、友達とどこかに行くことがとても新鮮に感じた。ここ数年の中でとても充実した一日になった。
良太君と西村さんと別れた後、近藤さんとアパートまで二人で今日のことを話しながら帰った。
「今日一日どうでしたか?」
「とても楽しかったです」
「それはよかったです。明日も学校も一緒に行きましょうね」
「そうですね」
今日一日へて朝感じていた学校への不安は今日の一日でだいぶ解消された。これからの学校生活がより良いものになるように感じた。そんなことを思いながらベッドで眠った。
【第五話】日常
学校生活が始まって初めての週末。本日はやることはないのでベッドでゆっくりしていと、電話が掛かってきた。
「健司うまくやれている」
「不安なことない、学校生活大丈夫?」
電話主は僕の母親。現在は海外で働いている。詳しことはあまり知らない。父親は母の付き添いで一緒に行っている。僕は両親に対してあまり思い入れはない。物心ついた時から家を空けていることが多く、家族愛情は受けてこなかった。そんな状況ではあるが時折こうして電話にて様子を聞いてくるのである。
「大丈夫だよ、友達もできたよ」
「よかったわね、体調に気を付けてね」
「じゃまたね」
聞くことだけ聞いて母はすぐ連絡を切った。まったく、嵐のように過ぎ去っていく母親だと感じている。悪い気はしていない。
電話が終わり部屋の掃除をしていると、インターホンが鳴った。ドアを開けると目の前には近藤さんがいた。
「佐藤さん、今日時間ありますか」
「明音と良太君とで遊びに行くんですけと一緒にどうですか?」
近藤さんからの遊びの誘いだった。今日は一日やることがなかったし、気になっている近藤さんからの誘いに断る理由もなく快く承諾した。
出かける準備をして外に出ると良太君と西村さんも集まっていた。バスに乗って近くにショッピングモールまで移動した。休日に行くことはあまりなく、近くのスーパーで日用品を買う程度なので、ショッピングモールに行くのは初めてだ。
着いた先で服を見たり、ゲームセンターで遊んだりした。普段味わったことがない気持ちがこみあげてきた。
「今日はとても楽しかった」
「また行きたいな」
「そうだね、みんなで行きましょう」
そんな中、会話をしながら帰りのバスが進んでいった。充実した一日だった。
【第六話】宿泊研修編 前編一
入学式から二週間友人たちと過ごしていた。そんな中僕が気になっている行事が近づいてきた。
「今から宿泊研修の班決めをするぞ」
担任の先生が教室は入ってきてた。今日は三泊四日の宿泊研修前の班分けの日だった。
宿泊研修といっても内容は学校での授業内容と変わらないが宿泊施設に泊まりながら勉強をするというものである。しかし、夕方からは自由時間もありみんなと遊べるのは少し楽しみでもある。
今回のクラス分けは席順で四人グループなので同じメンバーだ。内心他の生徒とはあまりうまく関係が作れていないため安心した。
「楽しみだな、健司」
「凪咲と一緒にいられる~」
「佐藤さん楽しみですね」
「僕も楽しみ」
良太君と西村さんは嬉しそうだった。近藤さんも楽しみにしているのが表情から伝わった。内心僕も近藤さんと一緒になれて見えないところで片手ガッツポーズしていた。
学校生活の中で生徒の会話を耳にしていた噂があった。噂とは宿泊研修中に必ずカップルができるというものがあった。
半信半疑だが四日間同じ空間にいる状況で、気になる子がいれば告白すれば付き合える可能性あるというらしい。その噂を聞いて僕はこの機に近藤さんに告白してみようかと強く思った。
【第七話】宿泊研修編前編二
宿泊研修当日。今日は近藤さんとは一緒ではなく一人で学校まで登校していた。今日から始まる宿泊研修に期待を膨らませていると前で良太が手を振っていた。
「おはよう!」
「今日は一人か?」
「今日は、近藤さんは準備があるみたいだから一人で来たんだ」
「そうか、せっかくだし男同士話しながらいこうぜ」
普段は近藤さんと一緒に登校するので男同士で登校するのはこれが初めてだ。
「健司、お前近藤さんのこと好きだろう」
「……。」
唐突に僕に対して聞いてきた。急なことだったのでうまく答えることができず黙ってしまた。僕が黙っていると、
「普段から近藤さんのこと見過ぎ」
「あれだったら他のやつも気づくぞ」
「明音はお前が近藤さんのこと好きなのをしっているみたいだし」
「まあ、肝心の近藤さんの方は気づいてないようだけど」
良太から言われて、周りからはそうみられていたんだと動揺した。
「うん、好きだよ」
良太に対して改めて近藤さんが好きなことを伝えた。そして続けざまに良太は僕に対して「告白するのか」と聞いてきた。
僕は「告白しようと思っている」と良太に正直に伝えた。その言葉に対して良太は笑っていたが、「大丈夫だろ、頑張ってみろ」と励ましてくれた。
今一度告白する意思を僕は固めた。そんな話をしていると学校に到着した。遅れて近藤さんや西村さんもやってきてバスに乗り込んだ。バスの中は班ごとに座ることになっていた。良太が気を使ってくれたのか僕を近藤さんの隣になるようにセッティングしていた。 西村さんもそのこと知っているのが面白そうに僕を見ていた。有難迷惑と思っていたが近藤さんが隣に座ってから朝の良太との会話を思い出し胸が鼓動を速めていた。
今回の宿泊研修は私服での参加であるためラフな格好をしている近藤さんと隣にいるだけで緊張した。
「楽しみですね」
「そっっうですね」
近藤さんとの会話は意識しまいうまく話せなかった。バスは僕の気持と同じように少し揺れながら進んでいった。
【第八話】宿泊研修編中編一
宿泊研修場所へ到着。僕は緊張のあまりしゃべれなかった。近藤さんとうまく話せず残念に思っていると、良太が僕の背中をたたきながら励ましてくれた。
「まだまだ、後があるよ」
「気落ちせず頑張れよ」
その言葉をもらいまだまだこれからと感じた。後ろから僕の服を西村さんが引っ張ってきた。
「私にできることがあれば協力するよ」
「私にどんと任せなさい」
西村さんは得意げに僕に対して言ってきた。二人は僕と近藤さんをくっつけさせよう楽しんでいるように見えるが言わないことにした。
宿泊研修場は山の中にあり、川が近くにあり、キャンプやバーベキューもできる場所だった。今回は、メインは勉強ではあるが、勉強が終わった後の時間は、楽しみで仕方なかった。
到着した後はすぐ部屋に移動し、それぞれ指定された部屋へ移動した。
二人部屋だった為、良太と一緒の部屋で過ごすことになった。部屋で少しすゆっくりしていると、良太は僕に対して聞いてきた。
「いつ告白するんだ」
「いつ告白するかは決めていない」
「振られたどうよしよう」
良太の問いかけに対してそう答えた。すると良太から続けてこう返してくれた。
「好きになったんなら、迷わず伝えてればいい。きっとその気持ちは必ず伝わるよ」
良太からの言葉は胸に刺さった。気持ちを伝えるための決心をつけた。僕に対してとても協力てきな良太に対して気になることがあったので聞いてみた。
「良太は誰と付き合ってたりするの?」
良太は僕の質問に対して答えた。
「俺も付き合ったりしたことはない」
「見た目からそう言われることが多いけど」
「そうなんだ、なんか以外」
良太が今まで誰とも付き合ったことがないのは驚きだった。しかし、これまでの良太の発言は説得力があるもの感じた。
良太の誰とも付き合ってない宣言を聞いて僕は笑ってしまった。僕が笑っているのを見て良太も笑っていた。
【第九話】宿泊研修編中編二
しばらく笑ったあと、僕たちは勉強会場へ移動した。普段の授業とは違い講演を聞くものであり、僕は少し眠くなった。
他の生徒も目を閉じている人もいれば明らかに寝ている人もいた。やはりただ聞くだけは退屈に感じる。早く終わらないかなと思いながら講演を聞いていた。
講演も終了し自由時間になった。初日は昼からの開始であったため遊ぶ時間はなく、すぐ入浴の時間になった。
良太と一緒にお風呂に入りに行った。入浴上は温泉施設近い形でいろんな風呂を楽しんだ後、サウナに入ってどのくらい入っていられるか勝負することになった。
勝負が始まったが僕はこのサウナが初めてである。五分経過して僕ももう限界に近かったが良太は余裕そうな表情であった。
限界が近かったが勝負となれば負けたくない気持ちが出てしまい、その後も粘った結果。ダウンしてしまった。
良太に支えてもらいながら浴場を出て休憩室にて扇風機に吹かれていた。そんな時、近藤さんと西村さんがやってきた。お風呂上がりの二人からはとてもいい香りがした。また、お風呂上りの二人の姿を見られてなんだか得した気分になった。
「佐藤君この後部屋に行ってもいいかな?」
「いいけど」
「じゃ~後で、二人で部屋にいくね」
「佐藤君また後で」
西村さんから後から僕たちに部屋に行っていいか聞かれた。僕ももちろんいいよと答えた。急なことで驚いたが、この後近藤さんが部屋に来ることは少しドキドキした。
自室に戻り良太と部屋で待っていると近藤さんと西村さんがやってきた。
「遊びにきたよ♪」
「お邪魔します」
元気よく入ってきた西村さんと違い近藤さんは落ち着いた様子だった。お風呂上りに一度見てはいるがやはり、近藤さんが一段と綺麗に見えた。
「トランプでもするか」
「いいね、やろ~」
「面白そうですね、私もやりたいです。」
良太からの提案で、トランプで遊ぶことにした。終始楽しく四人でババ抜きや、大富豪などしながら過ごした。遊んでいる時間はとても短く感じた。ある程度遊んだところで、
「喉乾いたな、ジュース欲しくない?」
「私も飲みたい」
「全員で買いに行くのはあれだから、一回じゃんけんして負けた人が買いに行くことにしよう。」
ずっと遊びに夢中で喉が渇いてしまったので、ジュースを買いに行くためにじゃんけんで決めることになった。一番負けではなく、一回のじゃんけんで負けた人が買いにというルールで行った。
「行くぞー、じゃん、けん、ぽん」
良太の掛け声をかけて一斉に手を出した。
結果は僕と近藤さんが負けて四人分のジュースを買いに行くことになった。
「行こうか」
「はい、行きましょう」
これも良太が仕組んだものなのか気になっていたがそれよりも、近藤さんと二人きりになれる場面ができたことでよしとした。
研修の間で二人きりになれる機会もないと思い、このタイミングで告白しようと決意した。
【第十一話】宿泊研修場後編一
近藤さんと一緒に施設の外にある自販機へ歩いていた。いつのタイミングで告白しようかと悩んでいるとき、近藤さんが話しかけてくれた。
「佐藤さん、この町での生活には慣れてきましたか?」
「不安なこととかありませんか?」
「良太との仲良くなったし、毎日楽しいよ」
僕のことを気にかけてくれている、彼女を見ていると不思議な気持ちになる。
「私も佐藤さんが楽しく過ごしているのなら安心です。私、ずっと気にかけていたんですよ」
そんな言葉を聞いて僕はついに口を開いた。
「近藤さん、出会った時から好きで、した付き合ってください」
「……。」
近藤さんは少し沈黙の後こう答えた
「私もずっと気になっていました」
「はい、喜んで、よろしくお願いします」
勇気を出して告白した結果僕たちは付き合うことになった。
「僕と付き合ってくれてありがとう」
「こちらこそよろしくお願いします」
ジュースを買って、二人照れながら部屋に戻った。帰り道、手に持っているジュースが温かくなるんじゃないかと思うくらい体が熱くなった。夜の暗がりで見えてはいないが僕
の顔は赤くなっていたと思う。
その後の時間は嬉しさのあまり、あっという間に過ぎ去っていった。
【第十二話】宿泊研修編後編二
次の日起きると昨日のことを思い出し、少し恥ずかしくなった。晴れて告白に成功し、近藤さんと付き合うことになったがこれからどうすればいいか。
何せ僕は今まで付き合ったことはなく、付き合い方がよくわからない。
そんなことを思っていた時、
「付き合ったのか?」
良太が聞いてきた。
どうやら昨日僕と近藤さんが帰ってきた後に様子がおかしことを気が付いていたようだ。
この際だから良太にもこれからどうしたらいいか相談してみようと思った。
「良太、これからどうしたらいい?」
「俺に聞くか、俺も付き合ったことはないんだぜ」
「まずは手をつないだりするんじゃないか。」
手をつなぐということを聞いて少し意識した。
「今日の夜は肝試しがあるからその時につないでみたらどうだ?」
「そうだな、そうしてみる」
そんな話をしたあと僕は今夜、近藤さんと手をつなごうと思った。
夜になり肝試しの時間がきた。肝試しのグループは班ごとに行うことになっていた。良太は気を聞かせて二人組で移動することを提案してくれた。良太と西村さんは先に行った。残った僕と近藤さんは出発する前に話をした。
「怖いですね」
「大丈夫だよ」
「暗いし、危ないから手を繋ぎませんか?」
「はい。」
近藤さんは少し照れながら、僕と手を繋いでくれた。
僕も近藤さんと手を繋げられて幸せな気持ちになった。手を繋ぎながら肝試しのコースを回った。近藤さんは道中で驚いたときに僕の腕を掴んできた。
「きゃ、怖い」
「怖いよ、健司」
突然なことで驚いたが、近藤さんは健司と発していた。
「ごめんなさい。」
「急に名前を呼んでしまって。」
「いいよ、もしよかったらこれから下の名前で呼んでくれていい?」
「はい、健司」
「僕も凪咲と呼んでもいいかな」
そんなやり取りをしながら凪咲は恥ずかしそうに僕の名前を呼んでくれた。少し手を握る力がグッと増えた。
「ゴールが見えてきたよ」
やっとゴールまで着くと、良太と西村さんはニヤニヤしながらこちらを見ていた。
それはそのはず僕と凪咲は手を繋いだままでゴールまで出てきたので明らかだった。
「健司やったな」
「お暑いですね二人とも」
良太からはねぎらいの言葉、西村さんからはからかうような言葉を発していた。
こうして宿泊研修は幕を閉じ、普段の日常生活が始まる。依然と変わったことは、凪咲が彼女になったこと、これからの生活が楽しみである。
第2部製作に向けて準備しております。