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僕と文学少女と回顧録  作者: 楠木八重
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文芸部へ

 文芸部の部室は文化部部室棟の二階であると書いてあった。この部室棟は十年ほど前まで本校舎として使われていた四階建ての建物だ。


 今、僕達の使っている本校者からは校庭を挟んでちょうど反対側にある。


 校舎移転の理由はというと、校舎の老朽化とのこと。老朽化といっても耐震性の問題とかそのような理由ではないのだが、何分、木造であったため、保護者や生徒の一部から安全面を疑問視する声が上がっていたのだとか。


 そのため、学校側が、今本校舎が立っているこの土地を買い取り新校舎を立てたということらしい。しかし、旧校舎のほうも壊してしまうのも惜しいということで、特定の活動部屋を持たなかった文化部(この場合は音楽室を活動拠点とする吹奏楽部や、美術室を活動拠点とする美術部などを除いた部活である。)の部室として再利用することになったらしい。


 その、二階に文芸部の部室があるらしい。

 

 校庭を回り込むようにして旧校舎に向かう。この間に、部活動勧誘期間ということもありいくつかの部活から勧誘を受けたが、すべてに「行けたら、後で行きます。」という、絶対に行かないやつが使う文句を使いそれをかわした。「行けたら行く」と同じ理論である。


 校庭からは野球部や、サッカー部の熱気のこもった掛け声がよく響く。


 そうして、校庭を抜けると少し広々とした広場に出た。かつてこの校舎が使われていた頃は、ここが青春の場として使われていたのだろうか。


 広場を通り抜けて、正面玄関につくと、あまり大きくはないが話し声が聞こえた。どうやらここを使用している文化部の部員のものだろう。


 中に入ると何人かの生徒に再び部活動の勧誘を受けたが、先程と同じ文句でやり過ごす。

 

 そうして二階に上がり、階段を上がってすぐ左手に、文芸部の部室があった。それは、ドアの上方のプレートに「文芸部」と書かれていた。それは、やはりなんというか、あのポスターで見た、あのどこか奥ゆかしさを感じさせるような秀麗な字であった。


 周りを見渡してみても、どこの教室にも名前の書いたプレートは入っていなかった。どうやらこの階には、他の部活の部屋はないらしい。ということは、おそらくは三階と四階も使われてはいないだろう。まあ、一階にもそこそこの数の部屋が存在しているだろうし、この旧校舎は一部の文化部しか使わないのでそれも納得できた。

 


 そうして、意を決してドアを軽くノックする。数刻のあと、中から「どうぞ」と小さく、だがはっきりと響く透き通った声が帰ってきた。

 

 そうして中に入ってみると、まず目に入ったのはおびただしい数の本が収納されたアンティーク調の本棚であった。


 そうして次に目に入ったのは、窓際に置かれたパイプ椅子に座って文庫本を読んでいる一人の女子生徒であった。


毎回、このぐらいの文字数で投稿していくと思います。コメントや高評価お願いします。

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