とある先輩文学少女と僕のモノローグ
彼女の名前は覚えていない。
何か、陽春を思わせるような朗らかな名前であったような気がするし、はたまた、秋色を感じさせるような爽やかな名前であったような気もする。
そもそも、今思えば僕は彼女の名前をそこまで意識したことがないように思える。あの空間においては、それは至極当然のことであったのだ。お互いがお互いを名前ではなくて、存在そのものとして認識する。そして、どちらかが話しかけるときは、相手の名前を呼ぶことのない、主語のない会話をしていた。
そして、僕はそんな彼女との関係を心地よいと感じていたし、今思えば、彼女も僕との関係を心地よいものと考えていたと思う。
でも、それ以上のことはわからなかった。彼女が僕に対して、何らかの正の方向の感情を抱いていたことはわかっても、それが世間一般で言う男女間で芽生える好感の類であるのかと問われると、自信を持って肯定することはできない。
そして、それは何も彼女に限った話ではない。僕自身も、今になって考えてみても、あのとき彼女に対してどのような感情を抱いていたのかわからない。
多分、恋という感情というのは、少なくとも、一介の高校生であった僕達には到底うまく理解できない、いうなれば砂漠のようなものであった。
人生で初めて書いた小説です。いくら辛口でも構いません!!是非コメントお願いします。