村人
にゅるにゅる 気持ち悪いですよね(笑)
圭介の叫び声が聞こえたのか、
村の1番手前に立っている赤い屋根の家のドアが開く。
やべ。
夜に大声出してしまった。
出てきたのは、筋肉質で長身の男性だった。
「あ、すみません。なんでもないんです。ちょっと驚いて…」
言いかけて、飛び出してきた男性をよくよく見ると、肩に斧を担いでいる。
血の気が引いていく音がする…
ひーーー……༼;´༎ຶ ༎ຶ༽
「すっ、すいません。マジで!だいジョーブっす。」
圭介の返答に、
男は圭介の顔を見返すと、
「ケイ様ではありませんか!」
「村長の家に、行かれたのでは?」
…!!俺のことを知っている。
やっぱり、Ifの続きの状態ってことか。
知ってくれている人がいたことで安心しかけた圭介だったが…
思い直した。
いや、待てよ!!本当にプレイしたゲームの続きなのか確認しなくては!
「…俺の事、知ってるんですか?」
さて、なんと返答が返ってくるか…
「ケイ様ではありませんか!」
「ネフティナータの討伐、ハリメル村の住人全員、心より感謝しております。」
………
これは…
もう1度話しかけてみる。
「こんばんは。俺のこと知ってるんですか?」
「ケイ様ではありませんか!」
「村長の家に、行かれたのでは?」
……やっぱりだ。
これは、NPCの返答だ。
ゲームの中で、あらかじめ設定された言葉や言動を繰り返すおなじみの存在。
それがわかり、圭介は、質問をやめた。
代わりに
「今から行ってきます。」と、
小声で一言言い残し、その場を後にした。
予想通り、男は、そのまましばらくそこに立ち尽くしていた。
圭介は、男を後目に、
無言で村長の家を目指して歩き出した。