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If story RPG  作者: 凛々音
第一章 RPGの世界
4/20

ルーン

星型の半分?

圭介の持つ蒼く光る石に照らされて、

蒼く光る半分の星が草陰に見える。



ヒトデ…?


そう思い当たった時、

検討がついた。


「ルーン か。」


ルーンという単語が聞こえたのか、☆型が、更に草から体を覗かせる。


☆型の7割が見えた時、

圭介は確信し、防御姿勢を取る。



ルーンとは、

If storyシリーズ1から登場する

1番メジャーなモンスターで、

2からは、チュートリアルや、メニュー画面でのコマンド選択時にも登場するモンスターである。


コマンド選択アイコンとしては、

別の◀▶や、←→などにも変更可能

で、選択した際に発する

「ルーン」のボイスも消す事も可能だが、

圭介は、シリーズ1からずっとルーンを選択し、ボイスも聞いていた。


先程聞こえた声は間違いなく

それそのものだった。


コマンドを選択した時に、くるくると体を回し、

発する可愛らしい…? 

少し間抜けな

ルーンの姿と声は、ボス戦に向かう恐怖を和らげてくれていたのだが、今は可愛らしいその声にも怯えてしまう。


ゲーム内でフィールドに出没する時のルーンは、

攻撃力はほとんどないに等しい。


だが防御力が高く、

物理攻撃ではほとんどダメージを与えられない。


魔法攻撃ならば多少のダメージは与えられるが、MPが勿体ない。


逃げるが勝ちのモンスターだ。


今、まさにそのモンスターが、

草の影からこちらを見ている。


圭介の気に入っている 可愛らしい?

間抜けな声を更にあげた。


「ルーーン」


震えているのか、

ジェリー状の体がプルプルと揺れている。


圭介は考える…


攻撃してくるのか?

攻撃してきたとしても、ほぼ攻撃力はなく、たまに、10や20のHPを削られる程度だ。

しかし、防具も武器もない今、

延々と攻撃を加えられたら…


まず、今の俺にHPやMPは存在するのか…


ステータスが確認したい。


悶々と考える最中、

ルーンが距離を詰めてくる。


ヤバい。ヤバい。ヤバい。



「…ルーン」



更に距離を詰めてくるーン。

じゃない。詰めてくる ルーン。


せめて ステータスを!

慌てふためく圭介


ゲームの世界ならステータス画面がないと話にならないだろう!

「アイテムとか、なんかないのかよ!」


右手を上下左右に 左手を左から右へと動かした瞬間


[ピコン]

頭の中で音がした。


視界の左上

青い枠の中に表示がある


ケイ

Lv.56

HP 5250/5250

MP 640/ 640


次のLv.まであと

の下にはステータスバーが表示される


「俺のステータス…か。」


ゲーム上での主人公 ケイのステータスと同じ画面が表示される。


仲間は?

ゲームの中のパーティーのステータスも表示される画面


その画面の下を見るべく、タブレットを操作するように、

ステータス画面を下から上にフリックする。


「ある。」


そこには、ゲームの中で、

ケイのパーティーメンバーである

リン

カインの名前とステータスがあった。


名前はあるけど、近くにはいないのか…。

何から手をつけていいのかわからない。


ルーンは、先程より更に距離を詰めてきている。

 

もうすでに圭介との距離はあと5メートルほど。

基本的に、跳んで体当たりしてくるモンスター


跳んで攻撃してくるとしたら、

すでに間合いに入っているだろう。


どうする…もう少し距離を取るか。

そう思い、1歩後ろに下がる


目はルーンから離さない。


その瞬間!

ルーンは小刻みにぷるぷると震え…


「る、る、る…ルーーーン!!!」


圭介に向かい思い切り跳んできた。


ダメージを恐れ、もう1歩後ろに下がる圭介。

あと少しで圭介に届くかと思われたが、

寸前に右にかわした圭介の左側

あと10センチの距離で

ルーンは落下。


草原の草に顔から突っ込み、

圭介の足元にはうつ伏せ状態の☆型が、

ぷるぷると震えている。

そして小さな声をあげた。

「ルーン」


その憐れな姿が、圭介の父性とでもいうべきものをくすぐったのか…


「お、おい。大丈夫…か?」


突っ伏したままま震えていたルーンが、腕と思しき、三角部分で、顔を持ち上げ、声をあげる。


「る…る……」

目には、涙と思われる水分が溢れている。


「痛かった…のか?」

手を伸ばそうとするが、

ヘタレ具合が邪魔をし、ダメージが心配になる。


「触ったらダメージ…」

とか…ないか…?

躊躇している間に、顔を押し上げていたルーンの腕の力が限界になったのか、

腕がブルブルと震え…

また顔を草に突っ込み 突っ伏した。


「お、おーーい」

声をかけてみるが、返事はない。


死んだのか? 先程の涙をいっぱいに溜めた姿を思い出し、少し心配になる。


もう一度声をかけてみる。

「おーーい。生きてるかー?」

…やはり返事はない。


圭介は意を決し、ルーンを指先でそっと突いてみる。


HP MPともに、ダメージはない事を

確認し、

そっとルーンをひっくり返す。


そこには、口を震わせ、涙を溜めた

ルーンの姿があった。


「生きてるじゃんか」

その声に、ルーンはまた声をあげた。


「る、ルーーーン」

目を閉じて、溜まっていた涙が溢れ出すルーンを見て、

圭介は、ルーンを抱き上げた。


片腕で抱え、右手で背中をポンポンと優しく叩きながら、

「よしよし。痛かったな。もう泣くな」


あれ?俺なんで、モンスターなぐさめてるんだ?


そう思う圭介の腕の中で、ルーンは

また小刻みにぷるぷると震え

大粒の涙を流しながら、

大きな声を上げた。


「る、ル〜〜〜ン!!」



























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