原因
心臓の鼓動が高鳴り、冷や汗が身体をつたう。
きっと顔面は真っ白に血の気を失っているだろうことが、
鏡を見ずともわかる。
息が・・・苦しい。
はあはあという自分の吐息に気づき、
パニックを起こしかけている自分に言い聞かせる。
落ち着け 落ち着け…
深く息を吸い、ゆっくりと吐いてみる。
「落ち着け」
声に出したあと、ゆっくりと目を閉じる。
まず、状況を振り返ろう。
俺は、自分ちの自分の部屋で、
If story7をしていて、
【ネフティナータ】を倒した。
うん。間違いない。
で、村長に次の街への行き方を聞こうとして…
そうだ! 村長がピステに行くにはこれが必要だとか、何とか言って何かを俺に差し出した。
それが蒼く光って…
「そうだ!石!蒼く光る石!」
慌てて目を開け、光る石を探す。
着ていたジャージのポケットを探ると、
ポケットにあったのは、
淡い碧色の光を放つ石だった。
「石…」
ジャージのポケットに、こんな石を入れた覚えはもちろんない。
そしてその石は見たことがない光を放つ石
明らかに人工物の感触ではない。
鉱石のような重みがあり、
石そのものが発光している。
その石の光で更に照らされる夜の草原。
少し先には、先程ゲームの中で訪れた村の当たりが見える。
嫌な予感… そして頭を過るこの想像が、多分正解であるという確信に近づき、
圭介はまたパニックになりかける。
「嘘だろ…勘弁してくれよ…」
頭を抱え、しゃがみ込む。
信じたくない。いやだ。なんで。嘘だ。嘘だ。嘘だ。
なんで。なんで俺が。
圭介の頭の中で1つの結論が導き出されたのだ。
「なんで俺がゲームの世界にいるんだよ!」
圭介は叫んだ。
ゲームの世界 If story7
中盤 中ボス【ネフティナータ】を倒した ハリメルという村の近くの夜の草原に、
風見圭介はいた。
どんなに頭を振り絞って考えてみても、原因が分からない。
だが確かに、そこは、元の自分がいた世界ではない、
異世界に放り出されたのだと
気がつくまでに そう時間はかからなかった。