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ラーメンと王さま

王「やっぱり今日も暑いのー」


 王さまは、つい最近買っていたことを思い出した日本にある別荘で、

のんびりと天気予報を眺めます。80インチの巨大テレビの画面には、

本当に人間が生存できるのか疑うような数字が表示されていました。


王「今年も異常気象じゃのー。暑すぎるのー」

SP「王さま、『暑い』って言ったら罰ゲームというのはどうでしょう?」

王「え?やる」

秘書「王さま、遊んでないで公務してください。口じゃなくて手を動かす」

王「はーい」


そして2時間後…


秘書「王さま、もうすぐ12時ですが、本日のランチは何になさいますか?」

王「うーん、夏バテであんまり食欲ないし…なんか面白いグルメがいいのー」

秘書「では、熱いラーメンはいかがでしょう」

SP「あ!あついって言った!!!」

頭脳派秘書「ふふっ、今のは熱の『熱い』ですわ」

しょんぼりしたSP「…日本語、難しい…」


王「ラーメンってなんだっけ?」

秘書「ヌードルスープ、主に中華麺を使用した料理で、醤油やみそ、

豚骨などの豊富な種類のスープに多様なトッピングが施された、

多くの日本人が愛するグルメです」

王「ふむ、それでは本日の昼食はラーメンとする。そしてこれより、

『暑い』も、『熱い』も罰ゲームの対象とする。もし言ったら、その人の奢りね」

SP・秘書「「はーい」」


王さま移動中…


秘書「着きました、ここです」

王「ここが日本で一番美味しいラーメン屋さん?」

秘書「いえ、私が前々から気になっていたお店です」

SP「秘書ってそういうとこあるよねー」


 暖簾のれんをくぐり、王さまを真ん中にして、

カウンター席に3人が並んで座ります。


店員「いらっしゃいませー!ご注文お決まりですかー!」

王「あー、おすすめ、ください」

店員「おすすめはーチャーシュー麺ですね!」

王「それ、おおもり、ください」

店員「はいチャーシュー麺大盛一丁!」


SP「カルビラーメンは、からいです?」

店員「1から5段階まであって3が中辛です!」

SP「4、ください」

店員「はいカルビラーメン4辛一丁!」


秘書「冷やし中華ください」

店員「はい冷やし中華一丁!」


 それぞれが注文を終えて、秘書が饒舌じょうぜつ

「一丁」とは1人前の料理の単位を表すこと、そして店を

盛り上げる景気づけとしても使われることを語っていると、

オーダーしたものが、ディズニーランドで例えると平日の

ウエスタンリバー鉄道くらいの待ち時間で提供され、

3人は「いただきます」と手を合わせます。


王「…む!…この澄み渡るような竹の香り…あっさりとしていて

奥が深いスープはまるで、大自然に囲まれた、静かな湖のようじゃ…」


 そう言いながら、真っ先にチャーシューを頬張る王さま。


SP「なにこれ辛い!熱い!超美味い!」

頭脳派秘書「今、『熱い』って言いましたね」

SP「あ!…えーっと、今のあついは、カルビ肉が

分厚いの『厚い』だからセーフ!!!」

王「SPが成長しておる…頑張って日本語を学んだ成果じゃのー…王さま感激」


SP「ところで秘書のそれって、ラーメンなの?」

頭脳派秘書「冷やし中華はラーメンの定義から外れていませんし、

北海道では冷やしラーメンとも呼ばれています。それに関西では、

冷麺と呼ばれているそうです。これほどキンキンに冷えた料理なら、

熱いと失言してしまう心配もありません」

SP「あ!『熱い』って言った!」

うっかり秘書「!!!」


 熾烈しれつな戦いに勝利し、嬉しそうな王さまとSP、

そしてすごく悔しそうな秘書が支払いを済ませ、店を出ました。


 外は真夏のコンクリートジャングル、3人は顔を見合わせると、

何に囚われることもなく、今感じた、率直な気持ちを言葉で表現します。


王・SP・秘書「「「あつーい!」」」


王さまからの一言

「ガリガリ君を食べる時、かなりの勇気がいるよ」

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