ロリババア異世界にて爆誕
私自身、デイサービス職員として働いていた経験談を元に今回のお話を書かせていただいております。
彼女らの青春時代、そして現在。
一人の人間として尊敬できる存在であること。
介護職員のリアル
様々なことを織り交ぜながら書いていけたらと思います。
介護の用語があちこちに出てきますので、各章前書きにて、簡単な説明を記載いたします。
・要介護認定
.「介護サービスの必要度(どれ位、介護のサービスを行う必要があるか)を判断するもの」
※厚生労働省ホームページより抜粋
下位認定として、要支援という物もあり、大きな違いとして
要支援:日常生活の基本的なことは自分でできるが多少の支援が必要。
要介護:日常生活の基本的なことに誰かの支援が必要。
要介護の中でも、1〜5まで存在する。
数字が大きくなればなるほど支援が必要な割合が増加していき、
一般的に最大の要介護5は寝たきりの方が多く寝返りが打てない食事や脱衣も全介助が必要な方が多い。
その分受けることのできるサービスも要介護度の大きいほどに増える。
日本の夏、風流な四季折々が楽しめるといったのは昔の話。
春はいつの間にか終わり、梅雨はジケジケと降るわけではなく、家ごと流してしまいそうな大雨に見舞われ、
夏はアスリートかというほど、あくなき記録更新(気温)を挑戦し続けている。
12月前半ごろにようやく紅葉し始め、豪雪地帯では大雪、そうではないところでは暖冬。
そんな、1年を過ごす我々にとって、快適に過ごすための装置というものは必須なわけである。
八月も中盤、うだるような暑さ、もはや贅沢品ではなく生命維持装置といえるエアコンの効いた部屋でも確かにセミの音は聞こえていた。
「最近、耳の中にセミが鳴いててなぁ」
「みよちゃん、それは耳鳴りじゃなくて外で実際に鳴いているわよ?」
「まだ若いんやから、しっかりしなきゃ。」
「若いゆうたって80のババアやがな。」
「私なんて80ゆうたら、15年前よ。」
「ほんならあんたは大ババじゃな。」
なんとも間の抜けた会話であるがここは地域密着型通所介護、通称デイサービスかえでである。
かえでの由来は「大切な思い出」「美しい変化」などの花言葉があるからということだ。
人生における思い出を大切にし、老いを美しい変化と捉えましょうという意味合いがあるとかないとか。
「にしても、」
デイサービスにて職員、利用者含め唯一の男性職員こと私、朝倉道隆は頭を抱えていた。
「普段から人少ないのに、今日は一層のこと人数が少ないねぇ。」
「ほんまねぇ、ガランガラン。」
わざとらしく辺りを見回す仕草をするお年寄りたち。
民家を改装して誕生したこの介護施設は
家庭的な雰囲気を出すためにあえて少人数のデイサービスという形を取っている。
定員は9人と少なく、要介護認定されている方のみを対象とした非常に小規模なデイサービスである。
ただ今日はさほど広くない施設が何故だが広く感じる。
というのも今日の利用者数は全部で3人。
定員が9人にもかかわらず、
夏風邪を引いた者、
病院受診がある者、
家族でお盆を過ごす者、
単純に行きたくなくて、駄々をこねた者
各々の理由で、休みが発生した結果である。
(この間も4人とかで、理事長からすげぇ怖い顔されたんだよなぁ……。)
介護分野は比較的、安定しているかと思いきや、
職員の努力云々ではどうにもならないことで急に経営危機に陥ったりすることも容易にある。
家の中で転んで入院して1枠空くだとか、急に失踪するとか。
ずっと予約していた別の施設に空きができたから、そっちに移るとか。
老人ホームなどでは起こりにくいかもしれないが、デイサービスではよくあることである。
当然不安定なため、ボーナスなどもらったこともなければ、
給与も生活していけているのが不思議な程である。
処遇改善なんてもので給与の上乗せをできる制度が取れるようになったが、施設が制度を使用するとは限らない。
けっきょくうちでは高齢者負担が増えるとか言って、取らず仕舞い。
給与なんて雀の涙の方が多いぐらいである。
それでも、やりがいだけはある仕事である。
やりがい「だけ」は!
「まぁそんな日もある!
みんながいない分私が三倍ぐらい賑やかにしとくわ!じゃあ一人づつお風呂呼んでいくね!」
普段、来所後一息入れたところで昼食前に入浴を行う、
介護施設の存在理由の一つに清潔保持がある。
デイサービスへ行かせたい家族さんの主な理由に
「お風呂に入らせたい」というものがあるのだ。
高齢になってくると入浴というものは命がけになってくるものである。
風呂場滑る床を片足持ち上げて浴槽に入るのだ。
また大人2人が入れるほどの大きさがないお風呂だとさらに家族の方が介助しづらい。
その点介護施設のお風呂は基本的にバリアフリーになっており、凹凸が少ない。
さらに至る所に取ってがついており、職員が付きっきりに見守りを行ってくれる。
また、設備の整ったところでは、温泉を引いてきていたり、
足腰の弱い方用に機械浴という椅子ごとお風呂に浸かれるような設備もある。
まぁうちみたいな弱小介護施設にそんな高価なものがあるわけないのだが。
入浴介助は私も担当している。
正直、男女がそれぞれを担当した方がいい気がするが、
人が足りないので、気の良いお婆様がたに了承してもらっている。
恥ずかしそうにされている方もいるにはいるが、
私と彼女らでは孫以上の差があるため、ほとんどの方はあまり気にしてはいらっしゃらない。
たまに、異性に裸を見られるのいつぶりだろうかとテンションMAXで見せびらかしてくる方もいらっしゃる。
「にいちゃん、周り女しかおらんから窮屈やろ」
いつも入浴介助後こう聞いてくれるのは長尾スミエさん。
おっとりした性格だが、畑仕事を任せた瞬間生き生きと仕事をされる。
認知症がある程度進んできたことと、家族の負担を減らすため、
週3回でデイサービスを利用している。
「大丈夫、みんな優しくしてくれるから。
はい、髪乾きましたよ。」
「にいちゃん、フガフガ、ありがとな。フガフガ、向こうでフガフガお茶もろてくるわ。フガフガ」
「その前に髪乾かしてる隙にポッケに隠した上の入れ歯、嵌め直しておこう。」
入れ歯の形が合わないから入れていると痛いというスミエさんの主張は認められず、
渋々上下入れ歯が揃った状態でお茶をもらいに行った。
入れ歯って高いのよ?
あと乾燥したら割れるのよ?
でも痛いというのは何とかしないといけないので、
ご家族さんとケアマネージャーさんに連絡がしようと脱衣所にあるメモ帳に濡れた手でメモを残すのであった。
「はい、次みよちゃん!」
「みよちゃんお風呂の用意できとる言いよるで!」
「いやや、私昨日の夜入ったのにそんな入ったら皺皺なる」
「あらま、ほんまや首のあたりもうなっとるがな。」
「いらんこといいよるやつは締め上げてやる!」
お口が溌剌な当デイサービス最年少「みよちゃん」こと白峰美代子さん
特別感が欲しいのか、苗字や名前で呼ばれることを嫌い、あだ名で呼ばないと反応してくれない。
少し大柄な体型で、日がな外で近くの道路建設を眺めているため、日焼けして真っ黒である。
あまり白髪が出ない家系だそうで、健康体ぱっと見利用者ではなく職員のようにも見える。
見た目は若いが認知機能に衰えが見られ、デイサービスと訪問介護を利用している。
独居のため、清潔保持が難しくなったと自分でかえでに入ると決めた。
のだが、その割に風呂に入るのが大嫌いで毎回あの手この手で入らないようにしようとする。
とりあえず提案されたことは否定してみる天邪鬼。
そのため職員からうっとおしがられがちだが、不思議なことに昔を知る近所の方からの評判はよく、
「あんなに優しい子は滅多にいない」
との評価がほとんどだった。
ちなみに昨日の夜入っていたと言ったが、あれは嘘だ。
美代子さん家はそもそもガス代払うの渋って、お湯が出ない。
さらには風呂のドアが壊れて立て付けが悪く、風呂の中にすら入れない。
「はい、みよちゃん行くよ!」
私が風呂場へ誘うと
とりあえずごねてみる。
「大体私タオル持ってきてな…
「職員さんが朝、車に積んでたでしょ。」
「リハビリパンツもないやr…
「ここにストック置いてたでしょ。」
「ぐぬぬ……」
美代子さんの逃げ道を片っ端から塞いでいくのは、私ではない。
ゆっくりお茶を飲みながら美代子さんの隣に座っている。本山ハルさんだ。
最高齢で大正生まれ。
とにかく頭の回転が早い才女。
家の事情と時代のせいで勉強ができなかったからと、
ご主人が亡くなられてから、様々なことに触れている。
70歳で初めて海外に1人で行き90歳でパソコンを始めた。
今は簡単なテキスト入力ぐらいだったら多少時間はかかるができる。
ハルさん曰く、「こんなに長生きするとは思ってもみなかったが、80歳で何かを始めたとしたら15年もあれこれする時間があったということだ。世の中時間さえあれば大体は人並みにできる。」とのこと。
このように認知機能に衰えはないが、足がうまく動かないという理由で要介護認定され、
このデイサービスに来るようになった。
が、やはりそれだけでは要介護が出続ける保証もないため、ハルさんなりに考え、
認定調査員が来たとき、
立ち上がるのは2回失敗してからふらつきながら立ってみる。
何を聞かれても虚空を見つめ続けて返事をしない。
などを実践したところ、次の認定調査で要介護4が出てしまい。
やりすぎたと思ったそう。
余談だが、大体の人は認定調査員が来ると張り切ってしまい、
普段やらないこともできると言ってやってしまい。
なかなか要介護がおりず、家族の方が泣くというのがほとんどである。
が、ごくまれに演技をして、要介護を取ってしまう人もいるのである。
閑話休題
「何日か入らんくても生きていけるわな!」
「何のためにここに来るって言い出したんか思い出して!」
どうにかしてみよちゃんを風呂に入れようとする半ば喧嘩に近い定番のやりとりを行っていると、
急に
ブオン
という音を立ててデイサービス一帯が赤い魔法陣のような光に包まれる。
「何や急に、周り赤くなったで。」
珍しく、慌てた声を出すみよちゃん。
「おちついてフロアへ移動しよう。」
ただごとではないため、大急ぎとはいえ、安全を確保した上で利用者をフロアに集める。
他の職員も集まって大ごとになっていた。
「主任、これは一体?」
「わからない。けど、すぐに逃れる準備をしましょう。
朝倉くん、避難用の荷物一式持ってきて。ハルさんように車椅子も1台。私はその間に経路確保をするわ。
他の子はみんなを見ててちょうだい!」
少し離れた玄関へ荷物を取り、車椅子を入り口の脇で座面を広げブレーキをかけ待機させた。
避難となったらみんなの荷物もあったほうが良いだろうと利用者たちの鞄に手を伸ばす。
小さい頃から教育されているからか、
戸締りの心配と、手荷物の心配はどれだけ認知症が進んでいようと忘れない方が結構いる。
避難した先で不安になってしまうぐらいならついでに持っていってしまうのが良いだろうと私は考えたのだった。
とはいえ、特に貴重品が入っている訳でもなかったりする。
家族が家にいる方はどこで失くしてくるかわからないと、お金も鍵も持っていないので、大体は入浴時の着替えが大半を占めている軽いカバンであることが多い。
私は軽いものだとたかを括って3つのカバンを引っ掴んだ。
しかし、予想以上の重みでふらついてしまった。
「重っ……。
なんで、スミエさんのカバンだけこんな重いんだ?」
カバンの中に余計なものが入っていることは往々にしてある。
以前何故かジャガイモ1キロが入っていたこともある。
(まぁ、今は中身を確認している場合でもない。)
気にせず、みんなのところへ戻ろうとすると、魔法陣の赤い光がさらに大きくなり、目の前が光に覆われてしまった。
「何も…!見えない…!!!」
特に何か感じるわけではない、ただ、眩しい。それだけだった。
そして次に目を開いた先には今まで見たことのない。
いや正確には、ゲームの世界でしか見たことのない世界が広がっていた。
大体転移させられる場所というのは、
王宮の中であったり、空中に投げ出されたりというのが相場のような気が勝手にしていたが、
そのどれとも違うものだった。
「よし、成功…?まぁ思ってたのとちょっと違うけど成功ってことでいいよね?」
薄暗く、デイサービスを覆ってきた魔法陣と同じ模様のみが床から光を放つ部屋の中の角でボソッと口にしてるいる人間がいるが暗くてよく見えない。
声からしておそらく比較的若い女性だ。
何がなんだか全く状況が掴めないが、
目の前にシルエットのみだがだが、見覚えのある人間が倒れていた。
「ハルさん!! みよちゃん!! スミエさん!!」
慌てて近寄ろうとする道隆だったが、
「ぎゃああああ!!!!!」
ハルさんが急に叫び声を上げ、耳から何かを取り出し床へと投げつけている様子は何と確認できた。
「うるさい!!! 補聴器壊れよった!!」
どうも補聴器の音量が壊れたらしい。
何はともあれ、ハルさんは元気そうだったが、
叫んだハルさんの声、道隆は違和感を感じた。
(あれ、なんか声に張りが……?というか幼い?)
「フガフガ……フガフガフガ………ペッ!
やっぱり入れ歯が合わん、喋れんがな、全く!」
「何やよう見えんがな、ちょ! いたたた!誰だい、足ふんでんの!」
「スミエさん? みよちゃん?」
非常事態というのに、平時と同じようなゴタゴタぐだぐだした会話が続き、少しホッとしている自分がいる。
ただ、やはり皆の声に違和感がある。
どこかに連れてこられた時に自分の耳がおかしくなってしまった危険性もある。
「ようこそいらっしゃいました。異界の賢者様方。」
その声とともに、暗い洞窟のような部屋にぼうっとぼんやりと明かりが灯った。
「あなた方にはこの世界を救っていただきたく召喚を…
「あんたら……誰だい?」
フードの少女の声を遮り
灯りがついたことで、周辺の様子を確認できたことにより、みよちゃんが驚いていた。
「誰って、いつも隣に座ってる本山ハルだよ。なんだいあんた1番若いのにもう耄碌してk……誰だいあんた!?」
ハルさんもみよちゃんと向かい合って驚いていた。
スミエさんは自分で異変に気づいたのか、
しきりに全身をペタペタと触っている。
当の私といえば、あまり状況が飲み込めずにいるのであった。
なんせ、おばあちゃん3人がいると思っていた目の前には小学校低学年ぐらいのロリっ子が3人ダボダボの服を着ているのだから。
「みんな、若返ったのか……?」
「そういやにいちゃんも若くなってるなぁ」
「マジ?!」
急いで自分の各所を確認する。
確かに、服がダボダボ、
手は小さくなっている。
遊園地で薬を飲まされた訳ではないが、
体が縮んでしまっていた!
「あのぉ……
「ということは何か?!私ら若がえったんか?!」
「どうりでよう目が見えることで。」
「そろそろ話を……
「というか他の職員は?!」
「補聴器が壊れた訳じゃなくて私の耳が良くなってたのねぇ」
「あの……」
ずっと話をしようと試みていたフードの少女は
会話の切れ目にようやく注目をしてもらえるようになった。
「コホン、急なお呼び出しをしてしまい申し訳ありません。
私は魔法国の王女、エリゼと申します。」
自己紹介をしながらフードを外すと
育ちの良い顔をした少女の顔を見ることができた。
金髪で肩まで長さのあるふわっとした髪を持っている。
キリッとした目つきの16歳ぐらいの見た目の女の子であった。
「まぁまぁまぁ!」
「あら、お人形さんみたいに可愛らしいお嬢さんだこと。」
「あらほんと、ちょうどポッケに入ってたから、のど飴で悪いけど、あげるわね。」
3人とも、急に目が優しくなり接待モードに入る。
私は勝手に「祖母モード」と呼んでいる。
「ちょ!? なっ!?」
「貴様ら……!さっきから黙って見ておれば、話を無視する他ならず、我らが王女様を子ども扱いとは何何ごとか!!!」
よくみるとお付きの男性が立っていた。
こう言っちゃ悪いが全く気づかなかった。
「何よあんた、こんな子どもと戯れている王女様なんて絵になる光景じゃないの?
やぁね。心に余裕のない男は出世できないわよー。」
相変わらず、口を開けば憎まれ口のみよちゃんは
相手に一瞥すらせずに言い放つ。
「貴様…!使い魔風情がいい気になるなよ……!」
今にも首元を掻っ切ってきそうなほど、殺気に満ちている側近だが、
王女は手で制するのだった。
「良いのれす、あにゃたは下がっていにゃさい。」
「王女様?!」
(なんなの!なにこの抗えない優しい雰囲気……!
そういえば、幼い時から才能があると魔法の英才教育を受ける為、親元を離れてずっと辺境の地で師匠と過ごしてきた。もしかして、平民の子が受けているという家族の愛とはこのようなものなのかしら……。
にして居心地の良い。
もしかして、向こうの世界ではこの方達は聖女様だったのかしら……。)
完全に骨抜きにされている王女様。
初対面の相手に対してこれならチョロすぎないか?
「コホン。
すまない、取り乱した。」
その一言で場の空気を元に戻せるとでも思っているのだろうか。
しかし、話が進まない為、言うのは控えた。
「結論から言わせてもらいたいのだが、
皆様にこの世界を救ってほしいのです。」
王女と話を聞くとこういうことらしい。
魔法に頼って何千年と過ごしてきたこちらの世界の人間は魔力枯渇の問題に悩まされてきているらしい。
自分たちの知識技術ではどうしようもなくなった為、最後の望みをかけて、貯蔵の魔法石を全て使用し、異世界より召喚をこころみたとのこと。
召喚に私たちが選ばれた理由は
たまたま召喚の条件に合致したから、
1、魔法に頼らない術を持つ知見の深い人間を数名
2、補佐としてその3名が最も信頼を置く人間を1名
3、中長期的にことに当たってもらう危険性もあるため、子どもの頃の姿にて召喚。
4、被召喚者はお互い近くにいること。
ちなみに、帰還魔法に、時間操作の魔法も合わせがけを行い、
元の世界、元の時間へ帰る方法も確立されてはいるが、
魔力が圧倒的に足りないおかげで今は帰すことができないそうだ。
「というわけなのだが、力を貸していただけないだろうか?」
王女は頭を下げる。
「頭をお上げください王女様!」
思わず側近が王女に声をかける。
それは本来私たちが言う言葉であると思うのだが……。
「ハァ…帰れないんだから、実質拒否権なんかないですよね?」
「それは…我々も最後の手段として行ったのだ、事前の意思確認をする術を持たなかった為、このような行いになってしまったことは、反論のしようもない。」
暗い顔をする王女であったが、
「ええがな、何ができるか分からんが、
頼りにされとるのであれば、無下にもできまいよ。」
みよちゃんはガハハと小学生みたいな見た目とはチグハグな笑い方をした。
「そうね、この歳になると鬱陶しがられることはあれど、誰かに必要とされることってあまりないもの。
それにこの身体にしてもらった恩もあるしね。」
「
「リハビリパンツという紙で出来たパンツですよ。」
「紙?!」
「あのにいちゃんが履けってうるさかったんだよなぁ。」
「そ、そういう趣味をお持ちの方なのですね……。」
私のメイドたちからの好感度が下がった。