1ー4 魔法使いに、俺はなる①
なんとか投稿出来ました。
いやぁ会話があるとすんごく書きやすいですね。
今回は時間がなかったので短めですがまた近日中に次話をアップしたいと思います。
魔法。
それはハイファンタジー全般で欠かせない要素だ。
そんな、そんな重要なものをテンプレマスター(自称)の俺が今の今まで忘れていた・・・・?
い、いやいやいやそんな事あるわけないじゃぁありませんか!!
ちょっと、ほんのちょっとだけ記憶の片隅にいっていたのは確かだよ?
うんそれは認めよう。
だけどそんな、完全忘れてたとかそんなわけ・・・
「んー?どうしたんですかぁ?アルナス様?」
ピキリッと急に動きを止めた俺を不審に思ったのかミリが頬ずりをやめて聞いてくる。
でもねミリ。
0歳児に質問しても答えは返ってこないと思うんだ。
いや、今はそんな事はどうでもいいか。
肝心なのは魔法の事で・・・魔法、マホウ。
うわ。
うわあああああぁ!
完っ全に忘れてたぁあああああああああぁッ!
やっば、魔法とか全然頭になかったわ!
言葉覚えるのと状況整理に必死過ぎてこの世界にある可能性すら考えてなかったよ!
はい、認めます。
この高倉 響、テンプレマスターを自称しておきながら魔法の存在を完全に忘れてました。
俺はいやんいやん、と激しく頭を振る。
いや、それどころか真っ先に気付いて然るべき事をすっかり忘れていた事の余りの悔しさに身体全体をジタバタさせた。
今の俺は外見は赤ちゃんだからまだ可愛いらしいものの、26歳がやっていると考えると激しくキモいな。
ほら、ミリも「アルナス様!?」って言って困惑してる。
・・・って思ったら「アルナス様がはしゃいでますぅ!そんなアルナス様も可愛いッ」とか言い始めた。
やっぱりアホの子だったか。
こら、ハルアも隠れてホッコリしない。
俺はみてますよー。
・・・でもそっか。
そうだよね。
ここ、異世界だもんね。
魔法、あってもおかしくないよね。
むしろあるべきだよね。
まぁ実際に魔法があるというのなら今からやる事は一つだろう。
魔法使いに、俺はなる。
それしかない。
そうすべきなのだ。
今まで読んできたラノベの主人公達も皆んな幼い時から魔法を使っていた。
ならば俺もそれに則るべきだろう。
というか個人的に是非使いたい。使ってみたい。
そのためにはまず・・・もっと魔法に関して情報を得なければ。
・・・よし。
俺はジタバタと動かしていた身体をピタッと止めると、ジッとミリを見つめる。
(さぁ、今すぐ俺に魔法の事を教えてくれ。いや教えろ下さい。届け!この想い!)
そう、まずは教えを乞うところからだ。
何をするにも情報収集が基本。
これもある意味職業病なのかな?
それともただ単なる俺の性格か。
ともかく俺はまだ喋れないのでミリを見つめる視線にありったけの想いをのせてみた。
ミリは中々鋭いところのある、やれば出来る子系なのでこれできっと悟ってくれる筈だ。
いや悟って下さい。
「??」
そんな俺の想いが通じたのか俺の視線を受けて首を傾げるミリ。
そのまま暫く見つめ合う時間が続き・・・
「ッ!」
突然ハッと何かを悟った顔になった。
分かってくれたかミリ!
俺はお前をずっと出来る子だと思ってたぞ!
「??どうしたんですか?」
ミリの様子をずっと怪訝そうに見ていたハルアがミリに尋ねる。
するとミリは「私、分かっちゃいましたっ」と言わんばかりの顔でハルアを見返す。
「今ね、アルナス様から何か熱い想いを受け取った気がするの・・・」
マジか!通じてる!!
よーしよし、お前はやっぱり出来る子だ!
俺は信じていたぞ!
まさかの以心伝心で内心、ミリを褒めまくった俺だがそれとは裏腹に、ハルアは「何言ってんだコイツ」という目でミリを見つめた。
「はぁ、熱い想い、ですか」
「うん・・・」
「まぁ間違いなくミリの気のせいだとは思いますが・・・あぁ分かりました!聞いてあげますから拗ねないで下さい。それで?アルナス様はなんと?」
ハルアが一蹴しようとするとミリが拗ね始めた。
それを見たハルアが慌ててミリに続きを促す。
何だかんだハルアもミリには甘いみたいだ。
まぁそれはそれとして、さぁミリ。
お前が俺から受け取ったメッセージをハルアに伝えてやれ!
そしてどっちでもいいから俺に魔法を教えてくれ!
「えっとですねー、『ミリ、マジ可愛い。俺の嫁』って!」
「はぁ・・・?」
言ってねぇよ。
まさかの以心伝心だと思ったら本当にまさかの以心伝心だったようだ。
心の中で盛大にツッコミをいれる俺。
ミリ、お前はやっぱりダメな子だったか。
所詮、ミリはミリだったという事だろう。
ハルアにいたってはもはや困惑を通り越して可哀想な子を見る目になっていた。
気持ちはとても分かる。
俺だって突然パートナーが0歳児見つめて『この子が私を嫁にしたいって言ってるの!!』とか言い始めたらまず正気を疑う。
続いて頭に対し斜め45度の角度でチョップを入れるだろう。
その点、スルーしているだけのハルアの方が大人かもしれないな。
俺は心底絶望した顔でミリを見た後一筋の希望を託して今度はハルアを見つめる。
頼むぞハルア。
お前だけが頼りなんだ!
ちなみに俺がハルアを見つめ始めた瞬間にミリが慌てたように「はわっアルナス様が早速浮気しました!」とか口走ってたけど華麗にスルーした。
俺の視線に気付いたハルアはミリと同じように数秒間視線を合わせた後、心得てます、と言いたげに一つ頷く。
そして勝ち誇ったように笑うとポンっ
はわはわしているミリの肩に手を置いた。
「どうやらアルナス様は私の方が良いみたいですね」
お前もか。
どうやらハルアもしっかり者のクールビューティに見せかけた天然さんらしい。
それはそれで属性的には全然アリなんだけど今この場では嬉しくない。いや本当属性としてはアリなんだけどね?
その後暫くの間、ミリとハルアによる「第一回アルナス様の嫁はどちらが相応しいか討論」という名の事実無根な話題を取り上げた小競り合いが行われた。
0歳児に何を求めてるのかね、全く。
しかも俺に用意されてる選択肢は二択だし。
これは喋れるようになるまで意思の疎通は無理そうやねぇ・・・。
俺は諦めたように息を吐くと現実から目を背けるようにソッと目を閉じたのだった。
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[18.11.29 文書を書き加えました、誤字を訂正しました]