テキストファイルの保存場所
閑話。
小説のテキストデータはソフトウェアのソースコードに似ている。
どちらも編集履歴を管理するべきであるし事故によるデータ紛失に備えるべきだ。
人間は間違いを犯すものだし、ファイルは消えるものだ。
貴方がボツにして消してしまった記述は将来別の小説に活かされるべきものかも知れない。
そしてハードディスクやシリコンストレージは、十年の記憶保存を保証するものでは残念ながらない。
ノートPCは壊れるものだし、ハードディスクのデータは再生できなくなるものだ。
そしてそれは、最悪のタイミングでやってくる。
少なくとも同じファイルを編集し続けてバックアップしていないのならば、すぐに複数箇所にコピーすることをお勧めする。
最低限、ハードディスク上にバックアップ、USBストレージ上に更に一つ。
できればネットワーク・アクセス・サーバー上にバックアップ。
念のためにクラウド上のドライブにも。
特に私がブクマしている諸先生方は、バックアップにバックアップを重ねて頂きたい。
間違ってもノートパソコンがクラッシュすることで、書き溜めた小説が永久に紛失してしまうようなことにならないように気をつけて頂きたい。
当然、職業小説家の諸先生方は、堅牢なバックアップシステムを構築されているのだと思う。
自分の仕事や生活、家族を守るため、なによりもファンの期待を裏切らないために必須だ。
職業小説家の諸先生で、原稿用紙で入稿されている先生もおられることであろう。
そのような先生は原稿を耐火金庫に保管されていることと思う。
今風に、デジタル入稿をされているのならば、耐火金庫に近い防御を図られていることと推察する。
職業小説家の諸先生にとって、データ紛失の危険から自分の小説データを如何に守るかはお金と手間のかけどころであろう。
現在、ソフトウェア管理の観点では、多重化されたGITサーバーでソースコードを管理することが一般的になっている。
私はそのシステムがそのまま、小説家の諸先生方のために有用であると思う。
かくいう私も、小説のテキストファイルをGITサーバーで管理して、Windows上ではSourceTreeというソフトで操作している。
常用しているノートPCがクラッシュした程度では私の小説は失われない。
代わりのノートパソコンを購入できるかは心細い限りであるが……。
とは言え、GITやSourceTreeの説明は私には荷が重いので行わない。
ここでは、簡便のために、以下のように小説のテキストデータを管理することとする。
① 小説のテキストデータを保存する場所はCドライブの直下、"c:\repo\mynovel"というフォルダの下に、小説ごとのフォルダ(例えばc:\repo\mynovel\tool等)のフォルダを掘って、更にそこに"work"というフォルダで作業することとする。
② 一日の作業が終わったら、"work"のフォルダを「Ctrl+C」と「Ctrl+V」で複製し、フォルダ名を「20170610_1」等でリネームしてバックアップを行う。
③ ②のバックアップフォルダをUSBストレージにもバックアップする
欲を言えば、バックアップデータはネットワーク・アクセス・サーバーにもバックアップするべきだ。
外出先でノートPCをUSBストレージごと紛失しないとも限らないのだから。
ただ、堅牢性は一般に無料ではない。
堅牢性とコストはトレードオフの関係にある。
どれくらいの堅牢性が必要かは、リスクヘッジにどれくらいのコストをかけると最も経済的であるかから求められる。
USBストレージも安くなったとはいえ、貴方が書き溜めている五百万文字の超長編の未発表作品を毎日バックアップし続けると、あっという間に容量が尽きてしまうかもしれない。
作品を守るのにどれだけのお金をかけるのかは、個々人が決めることである。
ではあるが、私の愛する諸先生方には十分なバックアッププランを検討して頂きたいと切に願う。