Tomarigiの指摘事項について
二千数百文字の原稿で百六十一個の校正・推敲指摘。
多いと感じるだろう。
しかし指摘を捲っていくと多くは「同訓同音語のチェック」であることがわかる。
「自分」は「時分」の間違いではないかと確認してくれているのだ。
間違いでなければ確認して次に進めばよい。
重要なのは機械的に指摘してくれることだ。
ひとつひとつ確認すれば間違いに気付くことができる。
鬱陶しくはあるが必要なステップとして割り切ればよい。
中には本当に間違っている場合もある。
これがなかなか莫迦にできない。
「常用外の漢字」に関する指摘も多い。
これらは平仮名表記、別の語への変更、ルビの付与などの対処が勧められる。
これは修正しなくても良いが修正しなければ読者を置いてけぼりにする可能性がある。
素直に指摘に従うべきであろう。
この手の修正はさして手間がかからない。
ちょっとの手間で顧客満足度を上げれるのだから素直に指摘に従うべきであろう。
ひらがなよりは漢字のほうがよりニュアンスが伝わる。
書くほうはそう思う。
しかし読めなければ想いは伝わらない。
伝わらない文章ほど悲しいものはない。
基本「常用外の漢字」は読めないことを想定すべきだ。
したがって指摘に従いなんらかの処置を行う。
私はルビを振ることが多い。
ひらがなに開くのでも良いだろう。
小説を書いているときはともかく、この原稿のようなやや技術色の強い内容になると「英数字とカタカナの全角半角チェック」に引っかかってくる。
本来統一するべきであるがこの原稿では気分のまま揺らぐに任せている。
「漢数字のチェック」に関しても同様。
これも本来は統一するべきであろう。
これらの指摘は抑制することもできる。
「ツール(T)」の「校正・推敲プラグイン」を見るとデフォルトで二十二個のプラグインが登録されている。
各プラグインは指摘のカテゴリを示す。
それぞれの各プラグインには設定画面がある。
例えば「英数字とカタカナの全角半角チェック」を選択すると詳細項目をチェックするか否かを設定できる。
自分の文章のスタイルに合わせて設定すればより適切な指摘だけが残るだろう。
「ツール(T)」の「オプション(O)」の「プラグイン」タブで各プラグインを適用するか否かの設定もできる。
設定で適切な選択肢がない場合はプラグインを外してしまうのも良いかもしれない。
基本的に重篤な指摘ほど背景色が暗いものになっていく。
重篤という言葉は適切ではないかもしれない。
つまりは日本語としておかしい表現がより強調されるわけだ。
私の作る仕様書は職場の仲間によって愛の無いレビューにかけられ、批判される。
そして歯を食いしばって修正することにより一定の水準に達する。
しかし日本語として正しいか否かはあまり問われない。
仕事で仕様書を書いている場合、相手に伝わればよい。
そんな甘えがある。
読み手も同じエンジニアで共通の背景がある。
日本語として正しいかよりも技術的に正しいかがより重要である。
記述が多少舌足らずであっても優秀な読み手が勝手に行間を補完してくれる。
仕事の上での私の文章は甘やかされている。
しかし不特定多数に向かって問いかける文章は職場のエンジニア向けの文章以上に気を使うべきだろう。
私自身、日本語を真剣に学んだことはないがTomarigiの指摘する暗い背景色の指摘は恐らくは私に日本語とはなんぞやを教えてくれる。
指摘の内容はかつて学校で学んだことがあるものだろうが正直思い出せない。
一生懸命ググって意味を理解すればよい。
このような良いツールが無料なのだから青山学院大学には感謝している。
マイクロソフトワードの「スペルチェックと文章校正」機能もそうだが、Tomarigiは私に正しい日本語とはという命題に一つの解をくれる。
合っているかは知らない。
ただ、指摘を直していくうちに指摘数が減ってくることが実感できる。
へえ、そうなんだ、と気付きも与えてくれる。
気付かないものは必ず見落とす。
気付きさえすれば修正することも以後気を付けることもできる。