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機械仕掛けのバーディー  作者: 陸奥守
起の章 まとめ
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ここまでのあらすじ / 設定の話し09

 起の章 あらすじ



・プロローグ


 23世紀の未来。遺伝子疾患を患った少女は大気圏外の病院コロニーで、一人治療を受けていた。定常的に圧迫を受ける部分が石になっていく奇病だったので、無重力空間へ行く事により病状の進行を遅くしたのだった。段々と身体の石化が進み、やがて少女は限界を迎えた。サイボーグかアンドロイドの肉体へ脳移植をする事になっていたのだが、ある日、彼女の身体は唐突に限界を迎える。

 定時検診にやって来たナースが見たモノは、もはや機械的に反応を示すだけの少女だった。この時点でもはや少女は生きているとは言いがたい状況だった。ギリギリの所で少女は助け出され、新たな人生を歩み出す事になるのだった……


・第1話 黒い稲妻作戦


 作業用アンドロイド『レプリカント』を生み出すタイレル社は、火星の地上に太陽系最大のアンドロイド生産工場を持っていた。この工場がシリウス派テロリストの襲撃を受け占拠されてしまう。

 遺伝子疾患で死にかけていた例の少女はバードと言う新しい名を与えられ、月面に作られた国連宇宙軍の海兵隊基地へ士官として任官していた。そして、この工場不法占拠事件を武力解決するべく、初めての降下作戦に出撃したのだった。

 地上へ降下し、始めての戦闘を行い、テロリストと向き合いつつ、事態の解決を果たした少女バードは、海兵隊を率いる士官の一人として、新しい人生を歩み始めた。


・第2話 サイボーグ娘はイケメンアンドロイドの夢を見るか


 黒い稲妻作戦を終え、バードは基地での日常生活へと戻った。所属するチームの隊長から預かった本は全くの無地で、そこへ日記を書けと渡されたのだった。

 バードはサイボーグになってから経験した事を記載し始める。初めて目を覚ました時。基地へと配属された時。厳しい訓練が始まる前。そして、日常を一緒に送る仲間達の事。

 誰一人として幸せな人生など無かったサイボーグB中隊の面々。そこには自分以上に重い過去を背負いながら、明るく過ごす仲間達が居たのだった。


・第3話 カワセミ作戦


 幾度目かの作戦行動を終え眠っていたバードだが、深夜、突然に基地司令室から叩き起こされ、サイボーグの中でも一握りの者しか扱えないトンでも兵器である『シェル』こと高機動装甲戦闘服で月面基地を出撃する。

 だが、事態は予想外の展開を見せ、急遽吹雪きのカナダへと降下する事に成った。極低温環境における極限戦闘を経てバードは国連軍とそれを取り巻く様々なモノの軋轢やせめぎ合いを垣間見る。

 バードは自らを『世間知らず』だと恥じたのだが、そのバード自身の成長を仲間達は感じ取っていた。


・第4話 最後の墓守作戦


 中国内陸部に作られた巨大な大深度垂直孔へ放射性核物質の最終処分場を建設していた中国政府だが、その垂直孔奥深くに眠る核物質を巡ってシリウス系テロリストが現場を占拠するという事件を起こした。

 当初、権威主義の塊である中国共産党政府は自力解決を推し進めたのだが、実際にはシリウス側との裏取引を行う事が明らかになった。その為、国連軍を管理する国連運営本部は遂に中国という国家へ三行半を突きつけるべく、大規模軍事侵攻を計画した。総動員数600万に及ぶ人類史上最大級の軍事作戦において、Bチームを含む海兵隊は先兵として中国へと侵攻する。

 だが、そこでバードが見たモノは、利益の為に平気で地球を裏切りルールを逸脱する利己的な存在の集まりだった。そして、海兵隊の内部にすらスパイが入り込んでいて、そのレプリカントを取り押さえる為に、バードは危険な賭に出るのだった。

 士官とは何か。責任とは何か。自分に与えられた能力と職務。それに葛藤する自分自身との付き合い方。自分をコントロールすることの重要性をバードは学ぶのだった。


・第5話 国連宇宙軍を10倍楽しむ方法


 ある日バードは海兵隊基地指導部から地球への降下を命じられる。すわテロ行為か?と身構えたバードだが、今回の降下は国連海兵隊に所属する特殊部隊の補充人員選抜試験で教官役を行えと言う事だった。サイボーグの作戦行動に追随しサポートする生身の海兵隊員は体力馬鹿なだけで無く、洞察力や強い責任感や、何より、仲間の為に命を賭けられる精神が必要なのだった。その為、不適格な候補生をふるい落とすべく、実際にサイボーグと行動させると言うカリキュラムなのだった。

 その降下直前。バードは仮想空間の士官学校でルームメイトだったホーリーと再開する。彼女はAチームへと配属になって居て、月面へ移動してきたのだった。再会を喜び合う二人の前に、Aチームの隊長デルガディージョが現れる。様々な情報交換の中でバードは海兵隊ですらも段々と動きにくくなっているのだと痛感する。

 その翌日、バードは戦闘では無く半ばお遊びでの降下を行った。部隊はアメリカのフロリダ。厳しい基礎訓練を終えていた候補生を徹底的にしごくBチームの面々だが、その中に正体不明の候補生が混じっている事が発覚する。

 サイボーグの能力に驚き舌を巻く候補生だが、Bチームの面々は段々と候補生の中におかしな者が居る事に気が付き出す。そして、訓練の最終段階。候補生の中にレプリカントのスパイが居る事を見つけ処分したバードは自爆に巻き込まれ、生と死の堺を彷徨うのだった。

 設定の話 その9 ブレードランナーの処遇


 ハリソンフォード主演で撮られたSFの名作映画『ブレードランナー』

 何時の時代だってどんな世界だって、汚れ仕事を行う者が居るから世界は平和に保たれているんだと言うメッセージの映画ですね。これについて語り出すと一晩や二晩は軽く語り続けられる位のマニアなのですが、ここでは本作のブレードランナー。つまり、レプリカントハンターについての設定です。


 本作の登場人物によりレプリとブレードランナーの関係は語れていますが、そのブレードランナーという『職業』についての話でしす。そもそも、この世界におけるブレードランナーは、アメリカの国家安全保障局(NSA)内部に設置されたテロ活動を行うレプリカントを探し出す諜報機関として設置されました。

 いくら『自由の国』アメリカと言えど自国の国民に対しスパイ活動を行う事は違法です。しかし、調査活動を行う事は法に定められた範囲を超えなければ認められています。正常で正当な捜査で有れば警察権力として行えるわけです。

 ですが、その過程でNSAの局員がレプリに殺害されるケースが続出し、現実世界では何処の国でもよくある話ですが『安全な活動を保証する為の保安要員』という形でブレードランナーの内部に実行活動班が作られたのです。

 所が、目の前にレプリが居ても『捜査令状』が必要だったり、或いは、危険な最中であっても『排除処分許可』を取る必要があるわけです。少なくとも文明国家であれば避けては通れません。なにせ、文明国と呼ばれる国では、例えそれがどう考えても正当な範囲でしか無い警察官の銃火器使用が『権力の暴走だ!』とか『犯罪者にも人権がある!』などといった綺麗事を喚く一部の人々のお金儲けに使われる訳です。

 最近じゃどこかの国でティルトローター機は危険だから飛行を禁止しろとか喚きだした人々も居るようですが、単位時間当たりで見るとヘリコプターより余程安全で、尚且つ、利便性がすこぶる高い某航空機を捕まえて『人殺し製造器』などと呼ぶ人も居るそうで、いやはや、自由と平等と表現の自由って便利だなぁと思うわけですが……

 少し話が脱線しましたが、そんな訳で、最初期のブレードランナーは諜報活動が主だったと言う事です。証拠を集めて実力部隊である軍や警察の特殊部隊に殲滅を依頼した形ですな。

 ですが、ここにサイボーグ産業が手を伸ばし『サイボーグならハンターが見ている視界を本部と共有出来ますよ!』とか『処分に至る過程の映像を証拠として確保出来ますよ!』とか、そう言う甘い文句で営業活動していった訳です。

 レプリカントの戦闘能力がどんどん向上していって、それと闘う必要のある保安要員も普通の人間じゃ太刀打ち出来なくなってきた。だからサイボーグが使われるようになったという部分も有ります。至近距離で撃たれても、脳を一撃で破壊されない限り即死は無いわけですしね。

 そして、かつては海軍の間借りだった海兵隊が独立した純粋な攻性暴力装置になったように、NSA内部にあった諜報機関としてのブレードランナーも独立したレプリハンターとして活動するようになりました。発生した事態に対し受動的に活動するのではなく、より能動的に、攻性的に活動する組織。独自に調査し、レプリを探し出し、見つけたらその場で処分。これによりレプリの取り締まりは大きく前進するようになります。

 やがて、各国もブレードランナー型の組織を整備し始めますが、そんな事よりNSAのブレードランナーに自国内の取り締まりを委託した方が早い。そんな結論に至る国家は多数あったと言う事です。

 アメリカの諜報機関が入ってくるのは困ると言う国家が独自に整備したケースも多々あったようですが、それよりもアメリカ合衆国の一機関から国連の局に模様替えした方が早い。そして、国際警察以上に権限を持つ組織として条約を批准した国家で自由に捜査をやらせよう。そう取り決めを行った国家が大半となった設定です。

 やがて、そのレプリカントハンターの活動を巡って見解が対立し、国連を二つに割ってしまう事態となるのですが、それはまぁ別の話という事でして……

 

 明日から起承転結で『承』の章「第6話 オペレーション:トールハンマー」を公開します。

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