I
わたしは"私"をよく知らない
どれだけ目を凝らしても
見るたび姿を変えるから
わたしは"私"がよくわからない
何度掴んだと思っても
そのたび零れていってしまう
わたしは"私"の名前を知らない
名付けるべきはわたしなのに
わたしが"私"を知らないから
振り返り見れば累々と
積み重なって黙々と
恨むでもなく憎むでもなく
じっとわたしを見つめる彼女も
わたし自身だったんだって いつか
受け入れて取り戻せたなら
そのときわたしは きっと
この世に生まれたその日から
一度も止まらず生きるわたしは
何度も何度も少しずつ
変わっていってしまっているけど
その全てが全てわたし自身で
過去からのわたしのその先が
今日まで生きたわたしの続きが
ここにいるわたしなんだって
わたしが"私"を認められたら
わたしをまっすぐ指さして
不敵な笑みを浮かべながら
まるで歌うように"私"は言う
自分で"自分"を探しなさい
他の何より傍にあり
他の何より遠いもの
それはわたしにしか見つからない
わたしの"私"を見つけなさい
近くて遠い
遠くて近い
わたしにはまだ見つからない
わたしが"私"になるまでは
まだもう少しかかりそう