#7 孤独 side asano
人の愛が恋しい
人の優しさが嬉しい
何処かで拒絶していても人間には必要不可欠なもの
俺は生きている。
じゃあそれを満たしているのかな?
「じゃあね、今朝はごめん」
それだけ言って彼女は何事もなかったのように
彼女の教室へ入っていった
時刻は11時
3時間目が始まってちょっとした頃だ
自分の教室に入る前に鏡を覗き込む
髪を整えてネクタイを少し緩める
ドアに手をかけてドアを開ける
途端に教室からは様々な目
俺には支えきれない想いが募った目線
純粋に喜ぶ友達の目線
嫉妬、憎みに満ちた目線
耳には必ず歓迎の声
だって俺、人気者なんだって。
誰か曰く俺はクラスのムードメーカーらしい
理由は・・・どうせ外見からだろう
そう見えるのはどちらかといえば良いことなのに
それが重い
中身なんて誰も見てくれない
本当は脆いんだよ、俺は
俺は只の臆病者のムードメーカー
「浅野洋平!遅刻ならちゃんと理由を述べなさい!!」
国語だったらしく甲高い声をした教師が叫ぶ
それにつられてもっと笑いが大きくなる
俺も軽く笑いながら自分の席に歩き出す
回りからは「遅せーぞー」なんて笑いながら軽く腹にパンチされる
俺ももっと笑って茶化す
・・・・馬っ鹿みてえ・・・・
皆の笑顔には大半は嫉妬だったり重い感情で溢れているのに
俺はそれを跳ね返す勇気もなければ
気にしないで居られるほど大雑把じゃない
自分の席に座って思い出したのはあの女の顔
あいつがこんな俺を見たらなんて言うんだろう
俺は孤独だよ