#3 失望 side asano
目の前には仲の良い女友達
いや、もう仲の良かった、と言うべきか?
脆すぎる友情に怒りを感じても
そんな友情しか作れない自分を責めるだけ
人間は本当に脆いものだね
静かな裏庭
いつもなら日当たりが良いはずなのに
今日はあいにく すっきりしない空模様で
どんよりとした空気だ
でも、今の僕にはこのほうがいい
空を見て、自分の胸の辺りに視線を移す
まるで全く同じに見える
思い出すのは前まで一緒になって笑っていた子の哀しそうな瞳
ごめんなんて言えるわけない
誤るんだったら付き合ってと何度言われたことだろう
僕は泣けないから
ただ、ひたすらに自分を責めることしかできない
なんで愛されることがこんなにも辛いんだろう
なんで幸せにしてあげられないんだろう
なんで恋愛なんてものがあるんだろう
なかったらきっとこの痛みもなくなるのに
誰かが言ってたそれが楽しいんだって
それが恋愛なんだって
本当、嫌になるほど楽しいよ
こっちが受け付けなくてもたくさんの想いが溢れかえってくる
もう止めてくれ
少し冷たい地面に体を預けると
いくらか楽になった
見えるのは空だけ
雫を落としそうで落とさない
まるで僕みたいだ
・・・僕はこんな風に広い人間じゃないけれども
どのくらい経っただろう
人の気配で目が覚めた
目を開いてあたりを見回すとくしゃみがでた
こんな寒いところで寝てしまったんだ
当たり前か
そろそろ校舎に戻ろうと思って裏庭の門まで行こうとしたら
バスケ部のキャプテンだっけ、有名な澤田先輩と女の子がいた
ああ、分かるまでそんなに時間はいらなかった
告白ってやつ
人のを見るのは初めてだった
あっけなく目の前で振られていく女の子
その子の目からは何かが抜けていくのがわかった
よく見てみると隣のクラスの女子。
たしか僕と同じクラスの奴が彼女を狙っていたから
それでなんとなくわかった。
去っていく「好きだった人」を見て涙を流す姿
惨めだった
惨め過ぎて出て行けなかった
僕もこんな風に人を泣かせたんだ
あまりの罪悪感にどこかがつぶされる気がした
慰めてあげようと思った
本当はそっとすべきだと思っていても
あの子を慰めることによって僕が傷つけた誰かの心も
許してくれるんじゃないかなんて馬鹿な考えが広がっていった
でも違った
近づいていく僕に辛いほどのオーラっていうのかな
なにかが必死で僕を避けているんだ
ああ、そう
僕はいつも泣かせるだけなんだね
慰めなんてできない
初めて自分の存在の悪さに嫌になった
なんで女の子は泣けば同情を誘えるんだろう
なんだか目の前の子に腹が立った
別に何を言われたわけでも何かされたわけでもない
ただ、苦しそうに泣いているだけ
僕には全く関係ない
でも僕にとってはそれが無性に嫌だった
恋愛に腹が立った日
恋愛なんていらないと思った日
僕は最悪の状態で最悪の状態の君に出会った
さあ、はじめよう
ここに居合わせただけ
それでも十分だと思わない?
ちっぽけな恋愛に遊ばされているなんて馬鹿馬鹿しい
ならばこっちから遊んであげよう
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