#2 契約 side nozomi
泣いたら泣いただけ
笑ったら笑っただけ。
別にそれが影響することは何もない
「ゲーム?」
私が聞きかけると彼は真顔で「そうだよ」と言った
「本気?」
「もちろん。」
「本気で言ってるのなら浅野君少しおかしいよ」
私が冷たく言い放つと
「あれ?俺の名前知ってたの?光栄、光栄」
なんてますます自信ありげにつぶやいた。
「・・・・」
本当に話しづらい男
なんでこんな男がもてるんだろう。
「ねえ、そんな難しく考えないでよ」
「・・・・・」
「ただの『ゲーム』だ」
「(ゲーム・・・・)」
「あのさ、俺ね結構もてるんだぜ?君には嫌われてるみたいだけど。
だから色々面倒なんだよ、振ったり慰めてやったり。ウンザリなわけ」
「あっそう」
「まあ、もてたことない人にはわからないんだよ、この気持ち」
「・・・・(むかつく)」
「結構辛いんだぜ?振るのも。だんだん敏感にもなってくる、仲良い女友達から告白
なんてされたらたまんないんだ。せっかく良い友達だったのに、もうギクシャクだ」
「・・・・なんでゲームの相手を私にするの?」
「そりゃ君が気に入ったから」
不意をつかれた
こんなこと真剣にいってるわけないのに
思わず心臓が動いてしまいそうになった。
「恋愛のゲームなんてすることないじゃん」
咄嗟に出た言葉に彼は待ってましたとばかりにまた笑った
「ゲームだからいいんだよ、理由なんていらない。君はどうせもう恋なんてする気ないんだろ?俺はつまんないんだよ、毎日が。もちろん君も恋愛が無くなると少なからず人生はつまらなくなるよ。きっと。」
「・・・・うん」
「だからそこでゲームだ。君は俺とゲームすることによってもしかしたら恋愛の楽しさまた
見つけられるかもしれないし、恋愛がしたくなるかもしれない。
俺は君といることで女子からあまり寄られなくなる。楽なんだ。
それに自分に興味なさげの子を堕としてやるという楽しさもある」
まあ明らかに君のメリットは少ないけどさ
俺が楽しそうだからいいじゃん
なんて付け加えた
「はあ・・・・」
なんだか長ったらしい意味の分からない説明にため息をつく
「そこでゲームには必ずルールがあるだろ。
ルールは俺と少なからず話すこと。
俺と一緒に帰ること。
周りには付き合ってると思われるくらいにね、じゃないと女子が寄ってくるし」
「なっ・・・」
「んで次に一番の楽しみ、勝敗だ。
もし君が僕に本気で惚れたら君の負け。
もし俺が君に本気で惚れたら俺の負け。その時点でもう終わりだ。
まあ後者はたぶんありえないけどね、もし俺が負けたら君に
賞として俺からの一生の愛あげるぜ」
ああ、そう
やっとわかったわ、君歪んでる。
もう直せないよ、その思考回路。
ただそれを自覚していてその上自信ありげに笑うところがたまらなく憎い。
そんなに自信たっぷりならいいよ、乗ったげようかその「ゲーム」に。
どうせ私は君を好きにならない、否なれない。
思い通りにいくことばかりじゃないんだよ、
ふとさっき振られた澤田先輩の顔を思い浮かべた
どうせまだ私は彼を諦められない
なら適度に忘れさせてよ
結構あるじゃない私にもメリット。
君を堕としてあげる。
もちろん君の敗北を意味させて
考え込む私に浅野は最後の問いをなげた
「どうする、本城さん。乗りますか?」
「・・・いいよ。乗ってあげる」
いった瞬間彼の形の良い口角が上に上がった
ゲームの契約は解除できない
どちらかが堕ちるまで。どちらかが涙を流すまで・・・ね
きっと。
私はゲームへの切符を手に入れた
読んで頂きどうもありがとうございます!
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