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G線上のアリア  作者: 月島秋
4/5

第一楽章③ ガール・ミーツ・ボーイ

(2011/09/28)

 

 ピピピッ……ピピピッ!

 

 目覚まし音で目が覚め、即座にアラームを解除する。

 寝惚け眼で枕下の時計を見ると時刻は七時。

 ふう、良かった。ちゃんと一人で起きれたよ、私。

転校初日に寝坊しなかったことに私は安堵する。

「………ふあああ」

 と小さな欠伸を一つ漏らし。

 ずるずると布団から抜け出し、まだ肌寒い空気の中、服を着替え、髪を三つ編みにする。

 よし、できた。只今の時刻は七時三十分。

 まだ時間は十分ある。

 余裕を持って私は朝食を作る。

 といってもコーンフレークだけど。

 一人暮らしなんだし、ちゃんと料理できる様にならなくちゃ。

 朝食を食べ終えたら、時刻は七時四十五分。

 八時に家を出ても十分間に合うけど、転校生なんだし早く出た方がいいよね。

 頑張って私、と自分に言い聞かせた、その時。


『I wana be a friend only you

~~私は君だけの味方になりたい♪』


 ソファの上に置いている私の携帯の着信音が鳴り響いた。

 私は電話を取りに行く。

 携帯のディスプレイに表示されていたのは母の名前だった。

「お母さん?」

『あはは、お早う我が娘アリアよ。ちゃんと朝食は食べたかな?』

回線ごしに聞こえてきたのは、やけにハイテンションな母親の声。

「うん。ちゃんと食べたよ」

『そう、それは偉いわ。けど、あなたのことだからどうせコーンフレークだったりするでしょう』

「――!」

『あはは、その反応。私の予想通りだったようね。もう、女の娘なんだから料理くらいできないと結婚できないぞ♪ あのね、私が結婚した切っ掛けも私のお弁当を食べた謡さんがね『こんなおいしい弁当毎日食べたいな』っていってくれたことで、そしてそして――』

 また、お母さんの惚気話が始まってしまった。

「あのね、お母さん。私、学校に行かないといけないから電話切るね」

『ちょっと待って!』

 回線を切ろうと私を母親が呼びとめる。そんなにも惚気話を続けたいのだろうか?

と思いきや。

 聞こえてきたのは、さっきと百八十度変わって親身に私を心配する優しい母親の声。

『こんなこと言えた義理じゃないけど

 ――頑張ってね、アリア。私、応援してるから』

 …………お母さん。

 優しい母親の声に私は勇気を貰う。

 大丈夫だよ、お母さん。私は大丈夫だから。

 ――絶対に大丈夫だから。


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