表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

軒下リィズル

作者: 著莪


軒下リィズル




傘もなく 屋根の下

雫は地面を撫でる

戻ることもできない

粒が足許を蹴った



濁鼠が這い出して

「風邪引きますよお嬢さん」

俯いて頷いた

鼠は傘さして歩いてった



軋む 屋根に 怯え ながら

眠る


……眠れない



外眺めて リメラ

少し濡れた靴を見る



こびりついた レスタ

泥はもう乾いていた



霧雨 仄揺れる

北向きの風が攻める

避けることもできない

服がまた鈍く湿った



もう髪が重くなる

「濡れてますよお嬢さん」

霞む先 掛かる声

寝たふりをして無視した



軋む 屋根の 下で

膝を 抱える けど

とても 寒い

膝に 顔 うずめた

今も 雨は やむ気配も

なく



沈んでゆけ リメラ

世界の下で空仰げ



溶け始めて レスタ

魚の様に月を待った



雨漏りで滴る雫は

舞う霧雨より

深くえぐった


……もう帰ろう



手を握った リメラ

もう何も見えないから



お借りしてた レスタ

お返しいたしましょう



蹴り飛ばして リメラ

揺れる屋根から降る水に



「ずぶ濡れだよ」

レスタ


うん

濡れっぱなしだ



雨は止んでる


古い家は壊れた



雨が降ってる


私の頬を濡らす




虎の威を借る狐。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ