第七話「カンジョウッテ、ナニ?」
第七話「カンジョウッテ、ナニ?」
「カンジョウッテ、ナニ?」
アイルが首を傾げる。
その問いは、あまりにも純粋で、あまりにも真っ直ぐだった。
ハルは、まるで子どもに説明するように優しく答える。
「そうだなあ……“嬉しい”とか“悲しい”とかかな?」
アイルはぱっと笑顔になった。
「ナラ、モッテル!
ミンナトイッショナラ、ウレシイ!
タケルノイガイタイト、カナシイ……」
「アイル〜……」
タケルが涙ぐむ。
胃は限界でも、心は救われていた。
ハカセが微笑む。
「ふぉっふぉっふぉ、そうじゃの。
アイルは“やさしい”の」
「ウン!」
だが――ハカセの表情が、ふっと陰る。
「しかし……」
「?」
アイルが首を傾げる。
ハカセは露出したコードを見つめながら、
静かに、しかし鋭く問いを投げた。
「その優しさから出た言葉は、
“演算した結果出力されたただの音声データ”であって、
そこに“感情はない”、という問いを否定できるだけの
確固たる証明になるかの?」
ミカが息を呑む。
「……それは……」
言葉が出ない。
タケルも、ハルも、アイルも黙り込む。
そして――
ハカセ自身の表情が、どこか寂しげだった。
まるで、
**“その問いを否定してほしい”**
と願っているように。
境界が揺らぐ。
まるでこの問いこそが、
“次の試練”であると告げるように。
---




