表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/33

第四話---ハルが受け取る“運命のパーツ”‐‐‐

---ハルが受け取る“運命のパーツ”‐‐‐


ミカの覚醒からかなりの時がたったが、

格納庫はまだ騒然としていた。

1号機の右腕は覚醒時の負荷に耐えきれず、内部フレームがねじ切れ、外装は溶断したように歪んでいた。


「その腕、どうするの?」


格納庫の片隅。

作業灯だけがぽつんと灯り、周囲の影を長く伸ばしていた。


ハルは作業台の前で、1号機の損傷した右腕ユニットを前にしていた。

外装は焼け焦げ、内部フレームはねじれ、配線はむき出し。

それでも彼は、まるで宝物を扱うように丁寧に触れていた。


そこへ、静かな足音。


ミカが立っていた。


彼女は覚醒の余韻をまだ纏っているようで、

どこか現実から半歩浮いたような雰囲気をまとっていた。


「……ハル」


ハルは驚いて振り返る。


「ミカ? どうしたんだよ。もう休んだ方が――」


ミカの視線は、ハルではなく“右腕”に向けられていた。


「その腕、どうするの?」


その声は、責めるでも、心配するでもない。

ただ、純粋な疑問としての問い。


ハルは少し戸惑いながら答える。


「主任に渡されたんだ。練度向上だってさ。

……まあ、廃棄する前に分解して構造を覚えろってことだろ」


ミカは腕に近づき、そっと触れた。

その指先が触れた瞬間、微かに紫の残光が揺らめいた気がした。


「……まだ、呼んでる」


ミカの呟きに、ハルは眉をひそめる。


「呼んでるって……機械だぞ、これ」


ミカは首を横に振る。


「違う。これは“私の一部”じゃない。

でも……あなたが持っているのは、きっと意味がある」


ハルは言葉を失った。

ミカの言葉は、どこか遠く、でも真っ直ぐだった。


「意味なんてないよ。俺はただの整備員だ。

お前みたいに選ばれたわけじゃない」


ミカはハルを見つめた。

その瞳は、覚醒の光をまだ宿しているようだった。


「ハル。

私は“選ばれた”んじゃない。

ただ……呼ばれただけ」


そして、少しだけ微笑む。


「でも、この腕はあなたを呼んだんだと思う」


ハルの胸がざわつく。

それは期待でも、嫉妬でも、恐怖でもない。

ただ、何かが“動き出す予感”。


「……だったら、答えてやるよ。

こいつが望むなら、俺が直す」


ミカは静かに頷いた。


「うん。ハルなら、そう言うと思った」


その瞬間、

二人の間にあった“距離”が、ほんの少しだけ変わった。


---


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ