第三話 「もう一人の主人公:ハル」
「もう一人の主人公:ハル」
■ ハルは、格納庫の奥で作業していた
ミカの覚醒試験には直接関わっていなかった。
彼は補助整備員として、1号機の外装パーツのチェックを任されていた。
だが、格納庫全体が震えた瞬間、
彼は工具を落とし、反射的に振り返った。
「……なんだよ、これ……?」
視界の先で、
1号機が“生き物のように”動いていた。
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■ ハルの第一印象:恐怖でも驚愕でもない
彼の胸に湧いたのは、
「ああ、やっぱりミカは特別なんだ」
という、言葉にできない確信だった。
ミカが1号機の前に立つ姿は、
まるで“呼び起こしている”ように見えた。
「ミカ……お前、そんな顔するんだな」
彼女の表情は静かで、優しくて、
そしてどこか“遠い”。
ハルはその距離に、胸が痛んだ。
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■ 1号機の紫光がハルを照らす
光は暖かくも冷たくもない。
ただ、彼の心の奥に“ざらり”とした違和感を残した。
「……これ、兵器の光じゃない」
彼は直感した。
1号機は、軍のものではない。
ミカのものでもない。
“ミカと1号機の間にしか存在しない領域”
が生まれてしまったのだ。
ハルはその領域に、自分が踏み込めないことを悟る。
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■ ハルの葛藤
ミカは幼い頃からの友人で、
彼にとっては“唯一の理解者”だった。
だが今、
彼女は1号機と共鳴し、
自分の知らない場所へ行こうとしている。
「……置いていくなよ」
声は震えていた。
誰にも聞こえないほど小さく。
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■ ハルが見た“覚醒の真実”
技術者は興奮し、
軍部は警戒し、
ミカは受け入れ、
1号機は応えた。
その中でハルだけが、
“人としての痛み”を感じていた。
「ミカ……お前は、どこへ行くんだよ」
彼は理解していた。
ミカが選んだのは“自分”ではなく“1号機”だと。
だが同時に、
彼は決意する。
「……なら俺は、俺のやり方でお前を守る」
この瞬間、
ハルは“もう一人の主人公”として動き始める。




