第十話 ハル機、戦場に到着
ハル機、戦場に到着
■ ミカ、限界
巨大脅威の触手が再び迫る。
1号機の左脚は損傷し、動きが鈍い。
ミカの呼吸は荒く、視界が揺れる。
「……っ、まだ……!」
だが、怪物の再生は止まらない。
コアが三つ、脈動し、赤黒い光が戦場を染める。
ミカは理解していた。
このままでは、負ける。
援軍は来ない。
基地も、軍も、誰も間に合わない。
「……ごめん、ハル。
まだ……帰れそうにない」
その瞬間――
大地が震えた。
---
■ 地平線の向こうから“何か”が来る
最初は、ただの振動だった。
次に、金属の足音。
そして――
紫と黒の光が、戦場の煙を切り裂いた。
ミカは息を呑む。
「……え……?」
煙の向こうから現れたのは、
見たことのない機体。
外装はバラバラ。
装甲は不揃い。
規格も色も統一されていない。
だが――
確かに“立っていた”。
寄せ集めのはずの機体が、
堂々と、戦場に立っていた。
そしてその胸部には、
紫と黒の光が脈動していた。
---
■ ミカの前に立つ
巨大脅威がミカへ触手を伸ばす。
その瞬間――
寄せ集め機体が、ミカの前に飛び込んだ。
金属音が炸裂し、
触手が弾き飛ばされる。
ミカの視界を覆ったのは、
不格好で、武骨で、
でもどこか“懐かしい”背中。
「……そんな……
なんで……?」
通信が入る。
ノイズ混じりの、
でも聞き慣れた声。
「――ミカ。
待たせたな」
ミカの目が大きく見開かれる。
「……ハル……?」
---
■ ハル機、覚醒
ハルの声は震えていなかった。
「こいつは寄せ集めだ。
でも――俺が乗れば動く。
そういう“機体”なんだよ」
巨大脅威が咆哮する。
赤黒い光が膨れ上がる。
だがハル機は、
その前に一歩踏み出した。
その動きは――
1号機以上にしなやかで、鋭かった。
ミカは息を呑む。
「……嘘……
そんな動き……できるはず……」
ハルは笑う。
「できるさ。
だって――」
機体の胸部が強く脈動する。
紫と黒の光が、戦場を照らす。
「こいつは“俺に応えた”んだから」
---
■ ミカの心が震える
ミカは震える声で呟く。
「……来てくれたんだ……」
ハルは短く答える。
「当たり前だろ。
お前を助けるために作ったんだ。
この機体は――」
巨大脅威が再び動き出す。
ハル機は、
ミカの前に立ったまま、
その動きを正面から受け止める。
「――俺の相棒だ」
---




