【if版】ep.9 ぴょこん
朝の光が、葉の間からこぼれていた。
昨日作った保存棚には、乾き始めた食材が並んでいる。
「……いい感じだな」
孝平が眺めていると、うさちぁん(分)がぴょこんと跳ねた。
「ね~♪ 今日はね、“かご”作ろうよ~♪
採れたもの運ぶの、大変でしょ?」
「かご……か。確かに、あった方がいいな」
『おい、道も整えた方がいいぞ。雨のあと、滑るからな』
火の精霊が、ぱちりと火花を散らしながら言う。
「道……そうだな。畑までの道も、ちょっと歩きにくいし」
「でしょ~♪ じゃあ今日は“かご”と“道”の日だよ~♪」
うさちぁん(分)が胸を張る。
~ かごを編む
森の奥で、しなやかな蔓を集める。
触れると、蔓がかすかに震えた。
「……これ、使っていいか?」
『いいよ~♪ その子、編まれるの好きだよ~』
「好き……?」
『うん♪ 形になるの、嬉しいんだって』
孝平は、蔓をそっと撫でた。
すると、蔓がふわりと柔らかくなる。
「……ありがとう」
蔓を編ぎ始めると、
昨日よりも手が自然に動く。
枝の声も、蔓の声も、
少しずつ聞こえるようになってきた。
「こうか……?」
『そうそう♪ その調子~♪』
うさちぁん(分)が横で跳ねながら応援する。
やがて、
小さなかごがひとつ、形になった。
「……できた」
『わ~♪ かわいい~♪ これでいっぱい運べるよ~♪』
孝平は、かごを手に取り、
胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。
~ 道をつくる
次は、畑へ続く小道。
雨でぬかるんだ土を踏み固め、
石を並べ、枝をどける。
『ここ、もう少し広げた方がいいぞ』
風の精霊が、ふわりと吹いて草を押しのける。
『こっちは俺が乾かす』
火の精霊が、地面をほんのり温める。
「……助かるよ」
『ふん。お前が歩きやすい方が、火を運びやすいからな』
「理由が火のことなんだな……」
うさちぁん(分)がくすくす笑う。
「ね~♪ こうやってね、
“道”って、ひとりじゃ作れないんだよ~♪
みんなで作るから、道になるの」
「……みんなで、か」
孝平は、整っていく道を見つめた。
前の世界では、
誰かと“何かを作る”なんて、ほとんどなかった。
でも今は違う。
精霊たちと、うさちぁん(分)と、
一緒に暮らしを作っている。
~ 分けあうということ
道ができ、かごができた。
「これで、畑の収穫も運びやすくなるな」
「そうだよ~♪ でね、採れたら“分けっこ”するんだよ~♪」
「分けっこ?」
「うん♪ 精霊ちゃんたちにも、ちょっとあげるの。
そうするとね、みんなもっと仲良くなるの~♪」
『……まあ、悪くないな』
火の精霊が、照れくさそうに火花を散らす。
『俺も、風通しよくしてやるしな』
風の精霊が、そよそよと吹く。
孝平は、かごを胸に抱えながら思った。
「……分けあうって、いいもんだな」
「でしょ~♪」
うさちぁん(分)が、にこにこ笑う。
風が、道を撫でていく。
火が、ぱちりと跳ねる。
土の奥から、ぽこりと返事が聞こえた気がした。
この島での暮らしが、またひとつ広がっていく。
道は一人では作れない。
物語も道じゃないかな?と思っています。
つまり、物語を作るのは、作者+読者+キャラクター
この物語はどこに繋がっているのでしょうか?
貴方も一緒に作ってくれませんか?




