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【if版】クラフトアルケミスト ~素材と精霊と、世界をつなぐ暮らし~  作者: ねこちぁん


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8/21

【if版】ep.8 生きるための手

朝の光が、葉の隙間からこぼれていた。

昨日植えた畑の土は、まだしっとりと温かい。


「……今日も、いい天気だな」


孝平が伸びをすると、火のそばでうさちぁん(分)がぴょこんと跳ねた。


「おはよ~♪ 畑、ちゃんと見てきたよ~♪

 土の精霊ちゃん、すっごく機嫌よかったよ~♪」


「そうか。よかった」


『おい、朝の挨拶は火にもしてけよ』


火の精霊が、じとっとした目でこちらを見る。


「おはよう。今日も頼むよ」


『ふん……まあ、任せとけ』


うさちぁん(分)がくすくす笑う。


「ね~孝平くん。そろそろ“保存”のこと考えた方がいいよ~♪」


「保存?」


「うん♪ 食べ物ってね、採れたときに全部食べちゃうと、

 あとで困るんだよ~。

 だから、乾かしたり、火を通したりして、長く持つようにするの」


「なるほど……」


前の世界では、保存なんて考えたこともなかった。

買えばいい。

足りなければ、また働けばいい。


でも今は違う。


ここでは、

自分の手で“未来の食べ物”を作らなきゃいけない。


「……やってみるか」


「やった~♪ じゃあね、まずはこれ!」


うさちぁん(分)が、昨日拾ってきた木の枝や蔓をどさっと置いた。


「これで、干すための“棚”を作るの♪

 風の精霊ちゃんが乾かしてくれるからね~♪」


『おう、任せとけ』


風がふわりと吹き、枝が軽く揺れた。


孝平は、枝を組み合わせて棚を作り始めた。

昨日よりも、手が自然に動く。

枝の声が、少しだけ聞こえる。


「……こうか?」


『そうそう。力入れすぎんなよ』


火の精霊が、なぜか口を出してくる。


「火の精霊なのに、木の扱いも分かるのか?」


『火をつけるには木がいるだろうが。

 木の性格くらい分かるさ』


「なるほど……」


うさちぁん(分)が、にこにこしながら言う。


「ね~孝平くん。

 こうやってね、“手”って変わっていくんだよ~♪」


「手が?」


「うん♪ 昨日より今日、今日より明日ってね。

 “生きるための手”になっていくの」


孝平は、自分の手を見つめた。

土の色が少し残っている。

枝のささくれで、小さな傷もできていた。


でも、不思議と嫌じゃない。


むしろ、

この手で何かを作れることが嬉しい。


棚が完成すると、風の精霊がふわりと吹いた。


『よし。これなら乾くぞ』


「ありがとう」


「じゃあ次はね~♪ 食べ物を切る“道具”を作るよ~♪」


「道具……?」


「うん♪ 包丁みたいなやつ!

 石を削ってね、刃を作るの♪」


「石を……削るのか」


『おう。昨日より上手くできるはずだぞ』


火の精霊が、なぜか誇らしげに言う。


孝平は、石を手に取り、そっと撫でた。

冷たさの奥に、かすかな“意志”のようなものを感じる。


「……頼むよ」


石が、かすかに震えた。


うさちぁん(分)が嬉しそうに跳ねる。


「ね~♪ こうやってね、

 “暮らしの道具”って、急いじゃダメなんだよ~♪

 ゆっくり、仲良くなっていくの」


孝平は、深く息を吸った。


「……そうだな。ゆっくりでいいんだよな」


風が、優しく頬を撫でた。


火が、ぱちりと小さく跳ねた。


土の奥から、ぽこりと返事が聞こえた気がした。


この島での暮らしが、またひとつ形になっていく。

うさちぁんの知識を活用して保存食を作ってみました。

精霊たちがたくさん出てきます。

次はどんな精霊が出てくるのでしょうか?

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