【if版】ep.6 土の精霊ちゃんだよ~♪
朝になり目を開けると、雨があがっていた。
「なんか、静かだな」
孝平は周りを見渡す。
火のそばでは、精霊が小さく揺れながら番をしてくれていた。
『よく寝れたか?』
「ありがとう。おかげで寒くなく眠れたよ」
『火の精霊なのに寒いなんか言わせないからな』
「うさちぁん(分)、どこ行ったのか知らないか?」
『あの騒がしいのなら、散歩に行くって言ってたぞ』
「そうか」
『ここ見といてやるから、行ってくるか?』
「お願いできるかい?」
『任せな』
孝平は、森へと歩き出した。
朝の森は、雨上がりの匂いに満ちていた。
葉の雫が光り、小動物の気配があちこちで跳ねる。
耳を澄ませていると──
ぽこぽこぽこっ。
水が沸くような、
でも土の奥で何かが動くような、不思議な音。
「……川じゃないよな」
音のする方へ進むと、
湿った土の匂いがふわりと強くなる。
ぽこっ……ぽこぽこっ。
近い。
孝平は草をそっとかき分けた。
そこには、小さな窪地があった。
雨でできた水たまり……のはずなのに、
水面が、まるで呼吸するように膨らんだり沈んだりしている。
「……なんだ、これ」
足元の土が、かすかに震えた。
声ではない。
けれど、確かに“何か”がそこにいる。
『……ふぅん。気づいたんだ』
背後から、軽い声。
振り返ると、うさちぁん(分)がぴょこんと立っていた。
「うさちぁん(分)……これ、何なんだ?」
「土の精霊ちゃんだよ~♪ 雨のあとってね、元気になるの」
「……精霊、なのか」
「うん♪ まだ姿は見せてくれないけどね。
でも、孝平くんのこと、ちょっと気に入ってるみたいだよ~」
水たまりが、ぽこり、と大きく膨らんだ。
まるで挨拶のように。
孝平は膝をつき、そっと土に触れた。
温かい。
雨上がりのはずなのに、どこか“生きている”温度だった。
「……よろしくな」
ぽこっ。
返事のような音。
うさちぁん(分)が嬉しそうに跳ねる。
「ね~♪ 畑作るなら、この子と仲良くしなきゃだよ~♪」
「畑……そうか。今日、やってみようと思ってたんだ」
「じゃあ、ちょうどいいね♪
土の精霊ちゃん、孝平くんのこと手伝ってくれるよ~」
ぽこぽこぽこっ。
水面が、まるで笑っているように揺れた。
孝平は、胸の奥がふっと温かくなるのを感じた。
「……よし。畑、作ってみるか」
ポジティブで勢いのあるうさちぁん。 グルメ知識だけじゃなくって、精霊ちゃん♪など、 この【if版】は、どんな暴走を繰り広げていくのか?(暴走はデフォです。むしろ、暴走しなきゃ始まらない♪)
「……さて、精霊ちゃんのお墨付きももらったことですし、いよいよ本格的な拠点作り(畑!)のスタートです。
本編よりも少しだけ賑やかで、読み終わったあとに『ふふっ』と肩の力が抜けるような、そんなひとときをこれからもお届けできればと思います。
土の精霊と仲良くなった孝平が、一体どんなとんでもない(?)作物を作り出してしまうのか。




