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【if版】クラフトアルケミスト ~素材と精霊と、世界をつなぐ暮らし~  作者: ねこちぁん


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2/21

【if版】ep.1 おつかれさまのかわりに

※この作品は、既存作『クラフトアルケミスト』の“もしも”を形にした、応募用のリライト版(if版)です。

物語の核はそのままに、展開や描写を一部手直ししています。

既存版とは若干異なる部分がありますが、あたたかく見守っていただけたら嬉しいです。

目が痛い。

時計を見ると、午前三時を指していた。


「もうこんな時間か。はぁ……あれ? 今日何曜日だったっけ?」


モニターの光に照らされて、手元の書類の山を見る。


「まだまだ終わらないなぁ……けど、あと三件だけやって帰ろう」


いつもの口癖を呟き、次の書類に手を伸ばす。

“あと少し”を繰り返して、現実から逃げていくうちに、今日もまた終わっていく。


誰も助けてくれない仕事を抱えて、

誰にも助けてと言えないまま、

誰のためにやってる仕事なのか分からないまま。


本当は、誰の責任でもない仕事を、

なぜか自分だけが背負っているだけなのに。


それでも手を止められなかった。

一度でも止めてしまうと、もう続きはやりたくなくなるから。

少しでも前へ。

そうして今日も、“あと少し”を積み重ねていく。


気付けば、空が白み始めていた。


「これで……終わりだ……終わった。今日もやり切ったぞ」


書類を出し終えて時計を見ると、午前四時を過ぎていた。


ぐ~~。


やり終えた達成感からか、極度のストレスから解放されたからか、腹の虫が騒ぎ始めた。


この時間に開いてるのはどこだ?

動きの鈍い頭を働かせて考える。


「そういえば駅前にラーメン屋があったな……いくか」


温かいものに触れたかった。

生きてると実感したかった。

誰にも気づかれないまま消えていくような夜の中で。

誰かに「お疲れ様」と言われる代わりに。


ふと、周りを見る。


誰もいないオフィス。

蛍光灯の灯が無機質に机を照らしている。


凝り固まった身体に、血を巡らせるように、ゆっくりとコートを羽織り、エレベーターに乗る。


ビルを出て、ここから左手、駅の方へ向かう。

息が白い。冷たい風が頬を撫でた。


眠い。

フラフラと足元がおぼつきながらも、熱いラーメンの汁を想像して歩き出す。


交差点に着き、信号を待つ。


──その時、急ブレーキ音が聞こえた。

お読みいただき、ありがとうございます。

これは、既存の『クラフトアルケミスト』とは少し違う、もうひとつの始まりです。

もしよければ、感想やブクマなどで、そっと応援していただけたら嬉しいです。

次回は【マスコットキャラの登場】を予定しています。お楽しみに。

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