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【if版】クラフトアルケミスト ~素材と精霊と、世界をつなぐ暮らし~  作者: ねこちぁん


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17/21

【if版】ep.14 種まきは、情熱と爆発の調べ?


「……で。これが、その『種』なのか?」


翌朝。目の前の光景に、孝平は遠い目をした。 昨日のダンスパーティーの結果、フカフカを通り越して「発光」している畑の横で、咲姫が大事そうに小さな小瓶を抱えている。


「はい! 孝平さんの『素材録』を元に、うさちぁんさんのアドバイスを加えて調合した……咲姫特製・『ハッピーのプロトタイプ』なのです!」


「プロトタイプ……」


「中身は、爆ぜる木の実の核に、虹色の茸の胞子をコーティングして、仕上げに私の『感謝の気持ち』をたっぷり詰め込んだのですっ!」


「それ、植えた瞬間にこの島が吹き飛んだりしないか?」


孝平の不安をよそに、うさちぁん(分)が横からひょいと顔を出す。


「大丈夫だよ〜♪ 土の精霊ちゃんたちが『もっと刺激が欲しい!』って言ってるもん。ほら、見て見て♪」


足元では、土の精霊たちが小さな手(のような泥の塊)を突き出し、「はやく!はやく!」と催促するように小刻みに震えている。


「……わかったよ。やるなら、一気にやってくれ」


覚悟を決めた孝平。咲姫が「いっせーの、なのですっ!」と、小瓶の中の種を畑へ一斉に放り投げた。


その瞬間。


シュンッ!


と音がしたかと思うと、畑に吸い込まれた種が、まるで地中の火薬に引火したような勢いで芽吹いた。


「芽が出た……なんてレベルじゃないぞ、これ!」


「わあぁ! 見てください孝平さん! 芽が……芽が、歌いながら伸びているのです!」


咲姫の言う通り、生えてきた双葉は「プルルル〜♪」と可愛らしい声を出しながら、ものすごい速さで成長していく。しかも、その葉っぱは太陽の光を浴びて、パチンッ、パチンッ、と小さなクラッカーのような音を立てている。


「うさちぁん! これ、なんの植物なんだ!?」


「えーっとね、名前はまだないけど……強いて言うなら『情熱パンチ・トマト』かな♪」


「物騒すぎるだろ!」


「大丈夫だよ〜♪ 収穫するときに、ちょっとだけボクシングするだけだからっ!」


「野菜とスパーリングしなきゃいけないのか……」


孝平は、腰に下げた自分の「素材録」をそっと閉じた。 ここにある知識は、もう通用しない。このif版の世界では、愛と情熱(と、うさちぁんの悪ノリ)こそが全ての理なのだ。


ふと横を見ると、咲姫が芽吹いたばかりの双葉に「美味しくなるのです、美味しくなるのです……」と、熱烈なプレッシャー……もとい、愛を注いでいる。


「……まあ、いいか」


なんだかんだ言いながら、楽しそうな彼女たちの姿を見ていると、胸の奥が少しだけ「ほっと」する。


「よし。次は……防具ボクシンググローブのクラフトだな」


「さすが孝平さん! 理解が早くて助かるのですっ!」


こうして、孝平の畑は「自給自足」から「異種格闘技戦」へと、新たな一歩を踏み出したのだった。

この世界では植物もボクシングをしてきます。



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