【if】ep.13 畑仕事は、精霊とダンスとともに?
「よし。畑、作ってみるか」
孝平がそう呟いた瞬間、足元の土が「ぽこぽこっ!」と嬉しそうに跳ねた。
「あはは、やる気満々だね〜♪ じゃあ、まずは土を元気にしなきゃ!」
うさちぁん(分)が空中でくるりと一回転すると、その周りにキラキラした粉末が舞い散る。
「うさちぁん、それは?」
「これ? うさちぁん特製の『ハッピー・ソイル・パウダー』だよ〜♪ これをまくと、土の精霊ちゃんたちが踊りだしたくなっちゃうの!」
「踊りだす……?」
嫌な予感がしたときには、もう遅かった。うさちぁんがパウダーをふりまくと、湿った地面がまるで生き物のようにうねり始めたのだ。
「さあ土の精霊ちゃん! 孝平くんのために、最高のフカフカを見せてあげて〜! ミュージック、スタート♪」
どこからともなく、軽快な打楽器の音が響き渡る。 すると、あちこちの地面から「ぽこっ!」「ぽこぽこっ!」と小さな土の塊が飛び出し、リズムに合わせてダンスを始めた。
「ちょっ……! 畑を耕してくれって言ったんだぞ! 地面をライブ会場にしてくれとは言ってない!」
「細かいことは気にしないの〜♪ ほら見て、土がほぐれてフカフカになってるでしょ?」
確かに、精霊たちが踊り狂ったあとの地面は、手で触れるまでもなく最高の状態に耕されていた。しかし、その範囲はどんどん広がっていき、ついには孝平の拠点ギリギリまで迫ってくる。
「ま、待て! そこは寝床なんだ! 耕さないでくれ!」
「だーめだよ〜♪ 情熱は止められないんだからっ!」
カオスな状況に頭を抱える孝平。そこへ、拠点の方から慌てた様子で咲姫が駆けてきた。
「孝平さん! 何やら不穏なリズムと地響きが聞こえてきたのですっ!」
「あ、咲姫。いや、これはうさちぁんが……」
咲姫は、うねり、踊り、フカフカになっていく大地を見て、パッと目を輝かせた。
「……すごいです! これぞまさしく、大地と命のセッションなのです! 孝平さん、私にも手伝わせてほしいのですっ!」
「咲姫まで!? 嫌な予感しかしないんだけど……」
「任せてください! 素材録によれば、耕したての土には『愛』を込めるのが一番なのです。えーっと……『爆ぜる木の実』の粉末を少し混ぜて、土に刺激を……」
「混ぜるな! それ、さっき爆発したやつだろ!?」
孝平の制止も虚しく、咲姫は笑顔で「情熱の粉末」を畑にパラパラと振り撒いた。
その瞬間。 土の精霊たちのダンスは「激しいロック」へと変貌し、畑全体が火花を散らしながら膨らみ始めた。
「……うさちぁん。これ、最後はどうなるんだ?」
「うーん、そうだね〜。たぶん、すっごく美味しいのが育つか、畑ごと宇宙まで飛んでいくかのどっちかかな♪」
「笑い事じゃないだろ!!」
土の精霊の「ぽこぽこ」という笑い声と、咲姫の「なのです!」という気合、そしてうさちぁんの陽気な歌声。 雨上がりの静かな朝は、一瞬にして「うさちぁんワールド」全開の、騒がしくも温かい日常へと塗り替えられていった。
ダンス!ダンス!!ダンス~♪
ブレイクダンス踊ってそう




