【if版】幕間 夜風のクールダウンと、重なる影
咲姫の「ハッピー煮込み」を完食したあと。 孝平の体温は一向に下がる気配がなかった。それどころか、指先から小さな火花が漏れ出し、魔力が体の内側から溢れ出している。
「……ちょっと、夜風に当たってくる。このままだと寝床を燃やしちゃいそうだ」
「あ、孝平さん! 私も、お供するのですっ!」
咲姫も、自分の料理の「成果」が気になって仕方がないのか、慌てて孝平の後を追った。
月明かりが照らす島の海岸線。 波の音が心地よく響く中、二人の影が砂浜に長く伸びる。
「……ごめんなさい、なのです。少し、隠し味の『情熱』が強すぎたでしょうか」
申し訳なさそうに俯く咲姫。その耳は、月光の下でもわかるほど赤くなっている。
「いや、味は本当に美味しかったんだ。ただ、素材の力を引き出す才能が凄すぎるっていうか……。ほら、見てくれ」
孝平が海に向かって手をかざすと、無意識に放たれた魔力が風を巻き起こし、海面を丸く凹ませた。
「……すごいのです。私の料理で、孝平さんの魔法がこんなに強くなるなんて。これはもう、実質的に二人の共同作業……なのです?」
「共同作業……まあ、そうかもしれないけど」
照れ隠しに頭をかく孝平。その拍子に、また指先がパチリと鳴った。 すると咲姫が、おずおずと、しかし決然とした様子で孝平の右手を両手で包み込んだ。
「ふにっ……ひゃっ!? さ、咲姫?」
「冷やすのです! 私の手は、さっき洗い物をしたばかりで少し冷たいですから、これで『愛のオーバーヒート』を抑えるのです!」
ひんやりとした彼女の手の感触。 けれど、抑えるどころか、孝平の胸の奥の鼓動はさらに速まっていく。
「……咲姫。逆、逆だよ。余計に熱くなってる気がする……」
「えっ……!? な、なぜなのです!? 私の計算では、これで完璧に調律されるはずだったのです!」
慌てて手を離そうとする咲姫だったが、今度は孝平が、無意識にその手を握り返してしまった。
「……あ」
二人の間に、昼間の焚き火よりも熱い沈黙が流れる。 遠くの草むらから、うさちぁん(分)が「ひゅ~ひゅ~♪」と口笛を吹くような風を送り込み、ぽぷらんが満足げに尻尾でリズムを刻んでいた。
なんだかんだで魔力がUP
うさちぁんは満足(いたずら成功!?)
ぽぷらんは和みますね~




