【if版】幕間 咲姫の恩返しと、甘い爆弾
翌朝。咲姫は宣言した。
「孝平さん。昨日の御礼に、今日は私が餡子に砂糖をかけて、お料理を振る舞うのですっ!」
「お、楽しみだな。手伝えることがあったら言ってくれよ」
「いいえ! これは私の修行でもあるのです。孝平さんは、そこでゆっくり待っていてほしいのです」
気合十分な咲姫。彼女が手に持っているのは、孝平の「素材録」をさらに独自に研究した自作のメモ帳だった。
「えーっと……『爆ぜる木の実』を隠し味に、『虹色の茸』で出汁を取るのです……。仕上げには、うさちぁんさんに教わった『情熱のスパイス』をパラリ、なのです……」
「……咲姫? なんか今、物騒な名前が聞こえた気がするんだけど……」
不安そうに見守る孝平をよそに、うさちぁん(分)がニヤリと笑う。
「大丈夫、大丈夫~♪ 咲姫ちゃんの『愛』が隠し味なんだから、多少の爆発……じゃなくて、刺激はスパイスだよ~♪」
数時間後。拠点の周りには、見たこともない「七色の湯気」が立ち込めていた。
「できました! 咲姫特製・『孝平さんへの感謝が止まらないハッピー煮込み』なのです!」
差し出された器の中には、確かに美味しそうな香りが漂っているのだが……時折、具材がパチパチと小さな火花を散らしている。
「あ、あーん……なのです?」
頬を赤らめ、上目遣いでスプーンを差し出す咲姫。 昨日のお返しと言わんばかりの「あーん」攻撃に、孝平は逃げ場を失った。
「い、いただきます……」
覚悟を決めて口に運ぶ孝平。 その瞬間――
「……っ!!」
舌の上で甘みが爆発し、次に鼻を抜けるのは爽やかな森の香り。そして最後に、火の精霊が全力で踊りだしたような熱い刺激が駆け抜ける。
「……どう、なのです?(ドキドキ)」
「……うまい。うまいけど……なんか、身体の底から力が湧いてくるっていうか、魔法回路がオーバーヒートしそうなんだけど……!」
「成功なのですっ! うさちぁんさんの言った通り、『愛』は爆発なのですっ!」
「うさちぁん! 変なこと教えるなよ!!」
背後で、ぽぷらんが「びりり、びりり」と静電気を放ちながら、嬉しそうに尻尾を振っている。咲姫の料理は、どうやら「素材の声」を物理的に増幅させてしまう、とんでもない逸品だったようだ。
うさちぁんの悪意!?
咲姫の天然
ラブコメディに挑戦してみたエピソードになります。




