表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【if版】クラフトアルケミスト ~素材と精霊と、世界をつなぐ暮らし~  作者: ねこちぁん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/21

【if版】ep.11 ひげの予兆と、和船の訪問者

 森の「古い気配」の奥で出会った、片耳の折れたうさぎ、ぽぷらん。  言葉は発しないが、その長いひげが感情や周囲の異変を如実に物語る。


 拠点の焚き火のそばで、孝平が干し実の出来具合を確認していると、足元にいたぽぷらんが不意に顔を上げた。


「……ぽぷらん?」


 ぽぷらんの左右のひげが、まるで生き物のように「うね、うね、うね……」と、波打つように動き始めた。  今まで見たことのない、複雑で、どこか期待に満ちた揺れ方だ。


「あ、これ! 大きいのが来るサインだよ!」  うさちぁん(分)が耳をぴょこんと立てて、海の方を指差す。


 水平線の向こうから、一艘の船が近づいてくる。  それは、孝平がかつての世界で見た「船」の概念を裏切るものだった。


 白木で美しく造られた、反り上がる船首を持つ和船。  帆には堂々と「餡」の一文字が墨書されており、逆風を物ともせず、一人の男が艪を漕いでいた。


 いや、男ではない。  波打ち際に船が滑り込み、そこから降りてきたのは――。


「……熊、くまびと?」


 身長は二メートルをゆうに超えるだろう。  全身を豊かな毛並みに覆われた、立派な体格の熊の獣人だ。  しかしその身なりは、驚くほど端正だった。紺色の着流しを粋に着こなし、腰には手入れの行き届いた巨大な木べらを差し、悠然と砂浜を歩いてくる。


 あまりの存在感に気圧される孝平。  その傍らで、ぽぷらんのひげは「ぴるぴるぴる!」と、まるで楽器の弦のように激しく震え出した。


「うわぁ、今のひげはね、『甘くて、すごく強くて、職人の匂いがする!』って言ってるよ♪」


 うさちぁん(分)の言葉通り、その熊人――餡子熊王が近づくにつれ、潮風に混じって「炊きたての小豆」の芳醇な香りが漂ってくる。


 熊人は孝平の目の前で足を止めると、懐からひとつの包みを取り出した。  その指先は意外なほど器用で、所作には一切の無駄がない。


「……この島の火が、久方ぶりに『良き実』を乾かしていると聞いてな」


 腹に響くような、重厚な声。  ぽぷらんは、歓迎を示すようにひげを「ぴょこん、ぴょこん」と跳ねさせ、熊人の足元へ寄り添った。

和装の熊人(獣人)が和船に乗って艪をこいでやってくる。

一見シュールでありながらこれ以上に笑える情景が思い浮かばなかった。

餡子さんならこうだよな~って思いながら書いたエピソードになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ