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【if版】クラフトアルケミスト ~素材と精霊と、世界をつなぐ暮らし~  作者: ねこちぁん


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10/21

【if版】ep.10 耳をすまして

朝の空気は、昨日よりも澄んでいた。

畑の土はしっとりと温かく、

保存棚の食材は風に揺れて乾き始めている。


「……今日も、いい日になりそうだ」


孝平がそう呟くと、

うさちぁん(分)がぴょこんと跳ねた。


「ね~♪ 今日はね、森の奥の方、行ってみない?

 精霊ちゃんたち、朝は元気なんだよ~♪」


「森の奥……か」


『あんまり奥まで行くなよ。あそこは気配が濃い』


火の精霊が、ぱちりと火花を散らす。


「気配……?」


『まあ、行けば分かる』


うさちぁん(分)がにこにこしながら言う。


「大丈夫だよ~♪ 孝平くんなら、ちゃんと感じられるから♪」


~ 森の奥へ

森に入ると、空気がひんやりと変わった。

葉の揺れる音が、いつもより深く響く。


「……静かだな」


『静かじゃないよ~♪ ほら、耳をすましてみて』


うさちぁん(分)が耳をぴょこんと立てる。


孝平も、そっと耳を澄ませた。


すると──


さら……さら……


風が草を撫でる音の奥に、

かすかな“声”のようなものが混じっていた。


「……今の、風の声か?」


『うん♪ 風の精霊ちゃん、孝平くんのこと見てるよ~』


「見てる……?」


『うん♪ 昨日、道作ったでしょ?

 あれ、すっごく喜んでたの』


風がふわりと吹き、

孝平の肩を優しく撫でた。


まるで「ありがとう」と言っているように。


~ 気配の濃い場所

さらに奥へ進むと、

空気が重く、湿り気を帯びていく。


「……ここ、なんか違うな」


『うん。土の精霊ちゃんの“巣”に近いからね~』


足元の土が、ぽこりと膨らんだ。


昨日よりも、はっきりとした反応。


「……おはよう」


ぽこっ。


返事。


うさちぁん(分)が嬉しそうに跳ねる。


「ね~♪ 孝平くん、気づいてる?

 精霊ちゃんたちの声、昨日より聞こえてるよ~♪」


「……そうかもしれない」


風の音、土の震え、木の軋み。

全部が“言葉”に近づいている。


前の世界では、

こんなふうに自然の声を聞いたことなんてなかった。


でも今は──

聞こえる。


「……不思議だな」


『不思議じゃないよ~♪

 孝平くんが“生きてる”からだよ』


「生きてる……?」


『うん♪ ちゃんと食べて、寝て、作って、育てて。

 そうするとね、世界の声が聞こえるようになるの』


うさちぁん(分)が、少しだけ真顔になった。


「この島はね、“生きてる”んだよ。

 だから、孝平くんのこともちゃんと見てるの」


「……島が、見てる?」


『うん♪』


風がそっと吹き、

土がぽこりと膨らみ、

木々がざわりと揺れた。


まるで、

島そのものが挨拶しているようだった。


孝平は、胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。


「……ありがとう」


風が、優しく返事をした。

このエピソードの元になった体験があります。

https://note.com/late_moka_neko/n/n9ceabcb556e6

ここを読んでいただければわかるのですが”気配で感じる”ものというのもあります。

例?悪寒・寒気・霊感

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