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まなつのよのゆめ  作者: しぇいくすぴあ
8/14

恋の矢印、ぐるぐる大混乱フェスティバル

「べら! 俺と付き合ってくれ!」


ひろの告白が、森に響き渡った。

筋肉全開、声量MAX、感情100%。もはや告白というより、プロレスの入場宣言だった。


「……はあああああああああああああああああああああ!?」


べらの絶叫が、森の鳥たちを一斉に飛び立たせた。

彼女はぼくの腕を掴んだまま、ひろを睨みつけている。


「あなた、何言ってるの!? わたしはでみと婚約してるのよ!? 親が決めたのよ!? 契約書もあるのよ!?」


「でも、俺の心が叫んでるんだ! べらが好きだって!」


「心の叫びより、法的拘束力のほうが強いのよ!!」


「法的って何!?」


ぼくは完全に蚊帳の外だった。

いや、正確には蚊帳の中で蚊に刺されまくってる状態だった。


誰もぼくの気持ちを聞いてくれない。

いや、そもそもぼく自身も、自分の気持ちがわからなくなってきてる。


「……なんでこうなったんだろう」


隣でへれながぽつりと呟いた。

彼女の目は、まだぼくを見ている。でも、その視線には、喜びよりも不安が混じっていた。


「でみ、わたしのこと、本当に好きなの?」


「もちろんだよ、へれな。君のことしか見えない。君の声、君の髪、君の――」


「それ、さっきも言ったよね?」


「……あれ?」


ぼくの目が、少しだけ揺れた。

その瞬間、木の上からひょっこり顔を出したのは――ぱっく。


「いやー、いいですねぇ。恋の混線。ラブコメの醍醐味ですよ」


その声を聞いた瞬間、全員の怒りが爆発した。


「「「「おまえかあああああああああああああああああああああ!!」」」」


ぱっくに向けて、怒号が炸裂する。

でも、彼はまったく動じていない。むしろ、満足げに笑っていた。


恋の矢印は、完全にバグってる。

でも、ぼくの心の中では、ひとつだけ確かなことがあった。


――このままじゃ、誰の気持ちも、本物になれない。

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