墓参り
私たち双子の姉妹を男手一つで育ててくれていたお父さんが、10数年前交通事故で亡くなった。
お父さん以外に身寄りがなかった私たち姉妹を、村長や役場の助役それにお寺の住職など村の有力者が援助して育ててくれると言ってくれる。
その言葉を信じて感謝を述べに村の集会場に向かった中学生だった私たちは、待ち構えていた村の有力者の男たちに玩具にされ弄ばれた。
私たちを寄って集って玩具にしながら村長は、「俺たちの玩具として育ててやるからな」と、泣き叫び助けを求める私たちに言い放つ。
その夜、私たちはお父さんの形見のカメラと少しばかりの私物、それに家にあったお金を持って村から逃走する。
そして半年程前、10数年ぶりに村に帰って来た。
私たちが帰って来たのに気がついた村の有力者たちは、歓迎会と称して集会場に私たちを引きずり込みまた私たちを玩具にする。
でも私たちだって10数年前の人の甘い言葉を簡単に信じる小娘じゃ無い、そうなることを見越して集会場に引きずり込まれた時の様子を録音したり隠しカメラで撮影したりした。
そしてそれらの事を噂話として村や近隣市町村に流す。
私たちがいない間にも似たような事を行っていたのだろう、噂話は直ぐに拡散された。
噂が十分に広まってから私たちは、青ざめた表情で人の目を気にするようにキョロキョロと周りを見渡しながら足早にこの地方唯一の総合病院から出て来る男たちの写真と、総合病院の職員を買収して手に入れたカルテのコピー、あと私たちが受けた事を書いた手紙と集会場で録音した音声やカメラの映像を添えて、新聞社やテレビ局それに県庁や近隣市の警察署に送る。
新聞社の記者とカメラマンやテレビ局のクルーが続々と村に押し寄せて来たのを見てから、私たち姉妹はお父さんのお墓の前で互いの胸に刃物を突き刺して心中した。
10数年前村から逃げ出した私たちは都会に向かう。
だけど、中学校も卒業していない10代前半の小娘に出来る仕事は身体を売る事だけだった。
でも10代の女の子にしか性欲が湧かない男たちには高く買って貰える 。
その高く買ってもらえる代償として、私たち姉妹はHIVやC型肝炎に梅毒や淋病など性交渉で感染する全ての病気に罹患した。
私たちが罹患していた全ての病気を移された彼奴等の絶望の顔を拝めないのが心残りだけど、もう良いや。
お父さんの墓参りも出来たし、2人一緒にお父さんの下に行きたいという願いも叶えられたから……。