10月9日 当たり前
今日は、昨日夜中までゲームをしていたこともあり、眠気でいっぱいだった。俺は何をしているんだろう?
朝からボッーと机の上を眺めていた。すると、横にいた篠木が声をかけてきたことに気がついた。
俺 「ん?」
篠木「何してるの?」
篠木は、少しイラっとした表情を見せていた。
俺 「何もしてないけど」
篠木「今、ペアワークの時間なんだけど」
俺 「あっ、ごめん」
篠木「もう、ちゃんとしてよね」
目を見ながら、頷いた。
俺 「うん」
篠木「なんかもうめんどくさくなったし、私もいいや」
俺 「‥‥‥」
篠木「白州くん見てると、なんかやる気なくなっちゃうよ」
篠木は、笑ってみせた
俺 「ごめん‥‥」
篠木「いや、そういう意味じゃないよ」
俺 「ん?」
俺は、他人と上手く会話ができない時がある。他者の表情を見てないから、言葉そのものを受け取ってしまう。だから、冗談か冗談じゃないかもわからない。
篠木「白州くんって、大学どうするの?」
俺 「ん?」
俺の反応に困った篠木は、話題を変えた様子だ。
篠木「大学」
俺 「あぁ。なんも決めていなよ」
篠木「そんなんで大丈夫なの?」
俺 「大丈夫ではないよ」
母からもずっと言われているのを思い出した。
篠木「周りから言われない?」
俺 「言われるけど、5分経ったら忘れてるよ」
篠木「何それ、めっちゃくちゃ面白いじゃん」
目の前にいた篠木は、とても笑っていた。篠木といえば、3年生の中でもとても人気だった気がする。確かBIG3かなんか。ただ、そのBIG3に他に誰がいるのかもよくわかっていないのだげど。
イキッている男子も篠木だけには、優しかった。それだけ
崇められているのだろう。
俺 「てか、今何してる途中なの?」
篠木「えっ、聞いてなかったの?」
俺 「全然聞いてない」
鼻を触りながら篠木の方を見た。
篠木「よくそんな堂々としているね」
俺 「だって、聞けないししょうがないよ」
篠木「先生の話聞いてたら聞けるでしょ」
"聞いてたら聞ける"という当たり前のことが俺には難しかった。障害という2文字で片付けられるほど甘くはない。いつも師匠としてしている先生も言っていた。
ただ、だからといって落ち込むことはない。普通の人ができることは、自分にとってできないのだから。