12月14日 絶妙なライン
俺は、先生のところに来ていた。先生と言っても、学校の先生ではない。
先生「なるほどな。じゃあ、今日いろいろ教えるよ」
俺 「わかりました」
いつにもなく、今日は元気がある様子だった。
先生「まずは、何を教えてほしいんだ?」
俺 「大学についてです」
先生「大学かぁ。大学の何を伝えたらいいんだ?」
昔のことを一生懸命ふりかえっている。まぁ、昔といっても10年も経っていないんだろうけど。
俺 「大学がどんな感じか知りたいです」
先生「大学は、自由なんだよ」
俺 「自由?」
思わず聞きかえしてしまう。
先生「ああ。やりたいこともやりたくないことも自分でほとんど決めれる。やりたくなければ、やりたくないでとことん避けれるから苦手なことはしなくていい。日向くんには向いてると思うよ」
俺にむいている?その答えは想像してなかった。
俺 「そうなんだ」
ホワイトボードに"大学"という文字を書き始めた。
先生「ただ、やりたくないことを避け続ければ、単位がもらえず卒業もできなくなる。だから、どこまで律することができるかが重要になるんだよ」
律することって、そんな簡単なことではないんだろうな。今まで、先生に散々言われてきたことだ。まぁ、ふーんとしか思いようがない。
先生「なんとなくイメージできたか?」
俺 「はい」
先生「短大や専門学校は行かないのか?」
俺 「いや候補には入ってます」
そうだ。別に大学にいきたいというわけではない。自分にあっているところを探すのが一番の課題だった。
先生「そうなんだ。どこが、候補だ?」
俺 「一番難しいのが大学だと思うんで。受験するなら見ておかないと思って」
先生「そりゃあ、そうだな」
俺の目を真っ直ぐ見て答えてくれた。
俺 「翔世大学は、共通テストでいい点数をとったらそれで合格できるんですよ」
先生「そりゃあ、いいな」
俺 「ですよね」
俺も頷いた。
先生「何点だ?」
俺 「3教科で120点以上です」
120点以上ってどうなんだろうな。
先生「ってことは、1教科40点程度かぁ。絶妙なラインだな」
男 「でしょ?」
本当にとれるかとれないかわからないライン。後は、当日のテスト問題やコンディション次第。そのくらいなら、受けてみようかなと思えたのだった。




