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12月6日 一人暮らし

 モニターに映る画面からは、薄明かりが木々の隙間から隠れる俺が操作する主人公がいた。俺の操作する主人公は、手にした剣を武器にしていた。俺は、周囲を警戒しながらゆっくり進んでいた。ヘッドフォンからは小鳥のさえずりと同時にスローテンポの音楽が流れていた。すると突然、茂みから現れたモンスターが吠え、鋭い牙を剥き出しにしてきた。急いで直也に指示を出し、剣を振り上げる。今度は、スリリングな音楽が耳元に流れてくる。画面にはダメージ表示される。俺は、コントローラーをうまく操作し敵の攻撃をかわす。直也も必死に森の中を逃げ回っている様だった。

 ゲームをしている自分は嫌いじゃなかった。なんか、ゲームの世界に入っていく感じかなんとも言えなかった。上手く表現できないけど、ドロドロ沼の中に入っていく感じが。やっぱり、自分の特性が気に入らないことはわかっているけど、特性だけに簡単に治せない。そんな自分も嫌だけど、それすらわからない。そんな中、直也だけは違った。


 直也「これ、いけるんじゃない?」

 俺 「いやそこは無理だよ」


 俺たちのゲームは佳境に入っていた。俺も直也も残りのポイントは1つしかなかった。


 直也「えー」

 俺 「もっとこっちだよ」

 直也「あー、もうー」


 ちょうど直也のパワーポイントがなくなってしまった。俺の方はまだ生き残っていたけど直也がやられたことでやる気はない。俺もコントローラーを置いた。すぐに敵が来て攻撃される。


 俺 「回復まで時間かかるから今日は終わりだな」

 直也「そうだな。今日はついてなかった」


 普段から、こういう感じでゲームが終わることが多い。俺は、直也以外の人とゲームをすることがないからわからない。


 俺 「たしかに」

 直也「じゃあ、今日は切るわ」

 俺 「わかった」


 ヘッドフォンから音は切れ、直也の声は聞こえなくなった。いつも思う。このゲームをした後の虚しさはなんだろうか?


 直也「あっ、そうだ。俺、もうすぐ引っ越しするんだ」 

 俺 「引っ越し?」

 直也「ああ。もう、学校に行くこともほとんどないから一人暮らししようと思って」  


 そうなんだ。なんだか、直也の今の一言で俺は一気に現実に戻された気持ちになってしまった。


 俺 「早くないか?」

 直也「そうだな。でも、こんなもんだよ」

 俺 「ふーん」 

 直也「まぁ、仕方ないさ」


 今は、直也の言っていることが理解できなかった。

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