11月26日 準備
ゲームをしていると、自分の特性を最大限に活かせている気がする。過集中がいいように発揮できている。そんなのは、ゲームくらいしかないんだけどな。けど、他のものには応用できないチートな能力だった。塾の先生からは、その脳力をいいように使えと言われているけど、今のところ、悪いようにしか使われてないな。ハハハハハ。笑うしかなかった。お母さんの話を聞きながら、ゲームをしながら、別のことを考えるという訳がわからないことをしていたのだった。
お母さん「勉強したの?」
俺 「あー、今からする」
全くする気はないんだけど。俺は、拳を握りしめながら、必死にゲームのボタンを連打しまくっていた。
お母さん「早くしなさいよ」
俺 「はーい」
最近は、怒ることすらしなくなった。言われるのが当たり前になったからな。
お母さん「もうすぐ、塾でしょ?」
俺 「あー、そうだったね」
時刻は、17時30分だ。何時からだっけな?ゲームをしながらだから、思い出せない。まぁ、いったかぁ。目の前に現れたゾンビを銃で撃ち抜く。
お母さん「早く準備しなさい」
俺 「わかってるけど、ゲームが終わらないんだよ」
ゲームのせいにしながら、俺は逃げた。このゲームのクオリティは、相変わらず高いな。
お母さん「17時50分には出るよ」
俺 「おけー。そこまでには終わらすわ」
お母さん「もう、ちゃんとしなさいよ」
俺 「はーい」
もう、このくだりは何回もしているからなんとも思わなくなってしまっている。
お母さん「じゃあ、下で待ってるからね」
俺 「おう」
下というのは、車が置いてあるいつもの駐車場だった。着替えて、あそこまで行くのには、10分はかかる。そろそろゲームをやめないと間に合わないだろう。
お母さん「ちゃんと降りてくるんだよ」
俺 「はーい」
お母さんは、そう言って下に降りていく。あー、もうめんどくさいな親は。いつになったら、こういう場所から俺は解放されるのだろうか。下には行きたいがゲームをやめるつもりもない。俺は、ゲームに必死になりながら、自分の身動きのとれなさに困っていた。ここで、また妖怪か。この調子だと、まだまだ続くな。確実に怒られると思った俺は、そっとゲーム機を地面においたのだった。今からいけば間に合う。急いでパジャマを脱ぎ捨てた。




