11月20日 グループ
篠木「ねぇ、聞いてる?」
俺 「うん、聞いてるよ」
なんか、昨日も一昨日も聞いたようなセリフだった。
篠木「じゃあ、これ、わかる?」
指先には、プリントが書かれていた。
俺 「えっ?」
篠木「聞いてないじゃない」
コイツめんどくさいことしてやがんな。
俺 「言葉が耳に入れば聞いてるんだよ」
必死に言い訳の言葉を並べた。
篠木「何よ、その言い訳」
俺 「言い訳じゃないよ」
正直、早く終わることだけしか願っていなかった。
篠木「言い訳でしょ。というか、何してるの?」
俺 「何してるって聞いてるんだよ」
篠木「これ何よ?」
篠木が持ち上げた手の先には、白い四角の物体が。
俺 「これは、シャー芯で刺した後だよ」
篠木「なんで刺すのよ。消しゴムがかわいそうでしょ?」
俺 「消しゴムにかわいそうなんてないのよ」
篠木「だって、こんなに刺されてるんだよ?」
俺の方に消しゴムを見せてきた。
俺 「いいだろ、別に」
見せられて気づく。いかに自分の消しゴムが不憫か。けど、仕方がないんじゃないか。そう言われてもな。
篠木「もうちょっと、大事に使わないと」
俺 「消しゴムなんて使ってナンボだよ」
篠木の話に納得がいかない俺は、必死に抵抗する姿を見せた。
篠木「そうかなー?」
俺 「そうだよ」
俺から前に視線を変えた。
篠木「今、諏訪が話してるんだから聞いてあげてよね」
たしかに、前で諏訪が話をしている。
俺 「だから、聞いてるって」
篠木「はい、次こっちのページだよ」
俺 「わかったよ」
コイツは、お母さんかよ。めんどくさいな。
篠木「この後、グループに別れるから考えといてよね」
俺 「なんのグループ?」
篠木「卒業制作のグループだよ」
何これ?後で、またグループにわかれるのなら今の説明いらなくないか?
俺 「グループに分かれてするの?」
篠木「そうだよ。知らなかった?」
俺 「うん。知らないよ」
何言ってんだと言わんばかりの表情だった。
篠木「簡単に言えば、どこのグループが何をするか決めるみたいなことだよ」
俺 「そういうことね」
どこのグループが何をしても勝手だと思うんだけどな。
篠木「うん。何したいの?」
俺 「別になんでもいいけど」
篠木は、どこか不服そうだった。




