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11月13日 ファイブナイト3

 最近ゲームしか没頭できるものがない。楽しいはずのゲームがどこか退屈に思えてきた。それでも、俺に興味がもてるものは他にない。いつものようにコントローラーを握っていた。今日も昨日に続いてファイブナイトをしていた。

 昨日、かなり進めることができたから、新しいストーリーに入ることができた。俺は、興奮と期待に胸を弾ませて、新しいストーリーをプレイすることになった。画面に広がる世界は、いつもとは違った。アップデートしたらこうも違うのかと驚かされた。まるで別世界への扉を開いたかのようだった。小さなキャラクターが、私のコントローラー一つでで自由自在に動かせる。

 ただ、なんかしっくりこない。昔だったら、もっとワクワク感を覚えるのに。今は、そういった感じは全くない。新しいものをただ作業みたいにしているように感じてならなかった。この新しいストーリーは、最初は未知なる世界に戸惑いなかなか進めることができなかった。特に、波状攻撃や回復魔法を使いこなすことが全然できない。

 こんなやつ前のストーリーにはあったかな?自問自答しながらつぶやいた。それでもやっていくうちに、確実に強くなっているという成長は感じていた。様々な困難にぶつかりながらも、勇気を持って立ち向かい、仲間と協力していく今風のゲームにやっぱり落胆してしまう。昔は、もっと銃などのアイテムで殺し合いのような残虐な展開も多かったはずなのに今はほとんど規制がかけられている。

 それが子どもを守るためと言われたらなんとも言えないが。とりあえず、ゲームの中で成長していくキャラクターのレベルを上げることにした。もうすぐ、ボス戦が待ち構えている。嬉しいようなつまらないようなな。昔は、もっと心臓がバクバクと打ち鳴らされたのに。そして、仲間たちの力を借りて勝利を手に入れるという胸熱の展開なのに。さっきから、なのにという語尾が多すぎる。自分に嫌気がさしてきた。

 ゲームの草原や森林、渓流など、美しい風景を眺めていると、なんだか家が家じゃないような気がしてならない。とりあえず、レベルをあげることに専念した。それでも、海外の観光地や遺跡など、独特で神秘的な場所も時折出てくる。これがアップデートしたものか。俺は、この新しいストーリー中に、もっとシンプルなコミュニケーションや挑戦機能をつければいいと思った。それ以外はいらない。従来の常識にとらわれない新しい世界は俺には必要なかったのだ。

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