10月4日 進路
今日は、昨日、先生に言われた進路について母と父と話をしていた。私たちは、リビングで話し合いを始めた。母の話が長く、いつの間にか机の上にあるリモコンを触っていた。
母 「聞いてんの?」
俺 「うん」
母 「アンタのことやで」
母は、私がリモコンを触っていることにイラだっている様子だった。俺は、触っていたリモコンを置いて、母の方を見て返事をした。
俺 「うん、わかったって」
母 「で、進路は、どうするの?」
俺 「うーん。どうしようかな?」
母 「私は、知らんで」
俺 「うん」
母 「先生な、なんて言うてたの?」
俺 「大学とかに行くか、就職するか決めてこいって」
母 「でも、キミの学力で大学にいけるとは思わんけどな」
俺 「それは、そうだ」
1学期の期末テストでは、5教科の総合得点は、255点。英語50点、国語45点、数学35点、社会60点、理科65点だった。社会、理科は、まだ許容範囲として国語や数学の点数はかなり厳しいものだった。
母 「進学するなら、どこにするか考えないといけないし、勉強もしないといけないよ」
俺 「うん」
母 「それが嫌やったら、就職してもいいんちゃう?」
俺 「うん」
母 「今のままやったら、来週までに決断出せそうにないんちゃう?」
俺 「たしかに」
母 「いつまでやったら、決めれるの?」
俺 「わからん」
母 「いや、わからんじゃなくて、アンタのことやろ」
俺は、本当にどうすればよいかわからなかった。こういう時、普通の人だったら、どちらかを選択するのだろうけど僕の場合は、どちらを選択すればいいか理解できないのだ。
判断基準となるものもなければ、どっちがいいという思いもない。そんな中で、決めるのは本当に難しかった。
自閉スペクトラム症の人たちは、こういったところが課題であることが多い。日常生活でも勉強でも覚えることができても、それを応用することができない。覚えたり経験したことがその場でしか発揮できないため、新しい場面では、また最初からになってしまう。
俺 「わからんって」
母 「それやったら、困るからはよ決めて
俺 「うーん」
母 「どうすんの?」
俺 「じゃあ、明日までに決めるわ」
そう言って、俺は2階にある自分の部屋へと戻っていた。母の話が長かったため、テキトウに返事をした。しかし、明日までに決める方法なんてなかった。それ以上に、母はうるさいし、進路を決めるというめんどくささが頭を悩ませた。
しかし、そう考えたことも一瞬で、15分ほどすると、すぐに忘れていた。そして、いつものようにゲームを始めていた。最近しているゲームは、オンラインで友だちと話をしながらやれるゲームだ。
俺に友だちはいないが、中学校時代に唯一話をしていた奴は、今もゲーム相手をしてくれていた。名前は、市川佑という。今日もそいつに連絡をしてゲームを始めた。さっきまで、あんなに進路について話をしていたが、今は何も覚えておらずとても清々しい気持ちになっていた。