11月1日 進学用紙
昨日の村山先生の話は、本当だろうな。それより、昨日もらった進学先の紙を持っていた。この紙にお母さんのサインをもらう必要があったのだ。俺は、リビングでくつろいでいた母の前にたった。
母 「どうしたんだ?」
俺 「これ、サインいるんだよ」
俺は、さっきの紙を渡した。
母 「なに、これ?」
俺 「進学先の大学だよ」
さっきの紙には、俺の汚い字で書かれた大学名があった。
母 「進学先の大学?」
俺 「うん」
渡した紙を5秒ほど見つめていた。
母 「ここにあるとこ行きたいの?」
俺 「まぁ、わかんないけど」
紙には、希望の大学を書いたけど、本当にいけるか、本当にいきたいのかと言われると自分でもわからないでいた。
母 「いけるなら、どこの大学でもいいの?」
俺 「うん。とりあえず、進学したい。だめ?」
顔を触りながら、素直に答えた。
母 「だめじゃない。そうやって一つずつ決めていくのがいいんじゃないか?」
珍しく、母は肯定してくれた。まさか、、、、、。
俺 「そうかな、、、、」
何が正解かわからないでいた。
母 「とりあえず、今は、勉強していろいろ学べばいいんじゃない」
気がついたら、鼻をほじっていた。鼻がムズムズする。
俺 「わかった」
母 「とりあえず、ここにサインしといたらいいの?」
母は、リビングに置いてあったペンを取りに行った。ペンをとった母は、どこか嬉しそうだった。
俺 「うん」
母は、紙を見つめて、サインする場所を確かめた。
母 「わかったわ。ここね」
机に紙を置き、サインをし始めた。
俺 「なんで、サインしたの?」
母 「サインしたらダメだった?」
お母さんの言う通り、サインはしてほしかった。でも、こんな風になるとは思わなかった。
俺 「いや、ダメじゃないけど」
母 「じゃあ、どうして?」
どうして?と言われてもな、、、、、。
俺 「てっきりダメじゃないかと思って」
母 「ああ、サインせずにダメ出しされると思ったの?」
だんだん、お母さんの話に聞き飽きてしまっていた。こういう時にいつも話を聞いていないと狭山先生に注意された。
俺 「ああ」
母 「そりゃあ、親なんだから言うのは当たり前でしょ」
サインした紙は、俺の前に差し出された。




