10月28日 お母さん
学校が再開してからも、俺たちが通常に戻ったわけではなかった。みんな納得できない何かを抱えながら過ごしていた。俺は、納得できないも何もないから、何とも思わなかったけど。本来なら、悔しいとか悲しいとかそう言う感情があるんだろうと勝手に思っていた。
今回のモメてしまった原因である野間や横山は、ずっと不満に思っているように思えた。どこか、先生たちを蔑んでいるように見えるし、言うこともテキトウに聞いているように見えた。別にそれはそれでい。どんな風に、学校生活を過ごすかはそいつら次第だ。
一方、クラスの中心人物の篠木七海は、至って冷静だった。いつものように勉強していつものようにみんなと話をしていた。彼女は、あんまり動揺しないのだろうか?俺は、消しゴムを触りながら、いつものように眺めていた。
このクラスは、これから一体どうなるのだろう。自分でもよくわからないでいた。とにかく、みんなバラバラの方向を向いていた。
篠木「白州くん、聞いてる?」
俺に話をしていることがわかった。
俺 「ん?」
篠木「話聞いていた?」
なんか、昨日と似ている気がする。
俺 「もう一回言って」
篠木「だから、今日、放課後残れる?」
昨日もそうだが、コイツらよりゲームの方が大事だ。
俺 「いや、早く帰りたいよ」
篠木「じゃあ、帰っていいけど、お母さんに連絡していい?」
お母さん?なんでだ?
俺 「何を?」
篠木「白州くんのこと」
俺 「連絡先知らないだろ」
すぐさま、ツッコミをいれた。
篠木「知ってるよー」
俺 「なんで?」
篠木は、笑顔を浮かべながら話をした。
篠木「だって、お母さんって先生でしょ?」
俺 「そうだけど」
篠木「私のお母さんも先生なんだ」
まさか、、、。そんなオチなんてあるんだな。
俺 「えっ、知り合いなの?」
篠木「そうだよー。だから、白州くんのことは大体わかるよ」
バレてるのかぁ。俺のことも。
俺 「そんなことあるんのかよ」
篠木「私のお母さんは、中学校の先生してるよ」
でも、俺が中学校の時は、篠木という先生はいなかった。おそらく、別の中学校の先生だったのだろう。
俺 「そうなんだ」
さっきまで俺のペースだったはずだが、いつの間にか主導権が篠木になっていた。諦めムードが漂ってしまった。




